2022/令和4年
1127日 (

コラム 【いま公務の現場では4】性別に関係なく活躍できる職場を 2021/12/14 00:00

人事院事務総局企画法制課長 植村隆生

◇女性採用10ポイント以上の伸び

人事院企画法制課長 植村隆生氏

 わが国全体で女性活躍を推進する中、公務でも女性の採用・登用の推進は最重要課題の一つです。政府が2020年12月に閣議決定した「第5次男女共同参画基本計画」は、策定過程で有識者から「数値目標が独り歩きすると、登用にひずみが生じるのではないか」「性的少数者への配慮をしていく必要がある。必ずしも『男女』と記述しなくていい箇所もあるのではないか」などの意見も出ましたが、最終的に、国家公務員採用試験と同総合職試験からの採用者に占める女性の割合を「毎年度35%以上」(15年の第4次計画は30%以上)、国家公務員採用試験(技術系区分)では同じく「25年度までに30%以上」(新設)にする目標を掲げました。

 直近の実績では、21年4月の国家公務員採用試験からの採用者に占める女性の割合は37.0%で過去最高の数字となり目標を達成しました。総合職試験は34.1%、どちらも最近10年間で10ポイント以上伸びています。技術系区分は25.2%でした。

 女性の役職への登用状況(21年7月時点)を見ても、指定職相当4.2%、本省課室長相当職6.4%、地方機関課長・本省課長補佐相当職13.3%、係長相当職(本省)27.7%と、どの段階でも女性の占める割合は着実に増加しています。

 ただし、第5次計画における25年度末までの目標である、指定職相当8%、本省課室長相当職10%、地方機関課長・本省課長補佐相当職17%、係長相当職(本省)30%と比べると、目標達成までには一層の取り組みが必要です。

 民間企業の管理職に占める女性の割合は、厚生労働省の「雇用均等基本調査」によると、20年10月時点で部長相当職8.4%、課長相当職10.8%、係長相当職18.7%となっています。

◇役職への女性登用を加速

 女性採用者数の増加に伴い、役職への登用候補者は着実に増えています。共働き世帯がスタンダードになる中で、女性の登用を加速するためには、性別にかかわらず誰もが働きやすい職場環境の整備が重要です。政府は21年1月に「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」を改正し、働き方改革をさらに進めるなど、取り組みを強化しています。人事院も、政府と連携して女性職員の能力伸長やキャリア形成支援のための研修の充実、妊娠、出産、育児と仕事の両立支援制度の拡充、長時間労働の是正をはじめとする良好な勤務環境の整備などを通じ、各府省の女性登用の取り組みを積極的にサポートしています。

出典:人事院「仕事と家庭の両立支援関係制度の利用状況調査(2020年度)」

 代表例が男性職員の育児休業の取得促進です。政府と人事院、各府省が協力した結果、男性国家公務員(一般職常勤)の育児休業取得率は年々着実に増加しています。20年度は前年度から23.4ポイントアップして、過去最高の51.4%になりました。厚労省の上記調査によると、民間企業で20年度の男性の育児休業取得率は12.65%でした。

 一方、平均取得期間は女性が16.6カ月であるのに、男性は1.8カ月にとどまります。そこで人事院は21年8月、民間労働法制の改正を機に、国家公務員の育児休業の取得回数制限を緩和する育児休業法改正について、国会と内閣に意見を申し出ました。現在、政府が法案化作業を進めています。

 この法改正が実現すれば、育児休業が原則2回まで取得可能となり、加えて子の出生後8週間以内に2回までの育児休業の取得が可能になります。合計4回まで育児休業を取れるようになれば、夫婦が交替で休業することで、男性職員の育児休業取得のさらなる促進と女性の活躍推進の効果が期待されます。

◇間口の拡大を

 女性の採用者数が年々増加していく限り、働き方改革や両立支援制度の拡充など働きやすい職場環境づくりを一層進めることを通じて、将来的に高い役職で活躍する女性の数は着実に増えると見込まれます。

 一方、国家公務員採用試験の申込者数に占める女性の割合は、21年度は総合職40.3%、一般職試験(大卒程度試験)43.4%と引き続き増加傾向ですが、大学と大学院での女性の割合や専攻分野別に見た場合の男女の偏りといった要素を考慮すると、近い将来、頭打ちになる可能性もあります。

 法律や経済、政治といった国家公務員を志望する学生が多い分野とは別に、希望者が少ない学部や学問を専攻する学生へのアプローチを強めるなど間口を広げてもいいでしょう。受験しやすい採用試験の在り方について柔軟に検討することも必要です。

 特に技術系は、大学や大学院で理学・工学分野で学ぶ女性の割合が低い状況(文部科学省の調査では1割~3割弱)を踏まえると、上記の目標達成のために、各府省の人事担当者と人材供給源である大学の研究室とのコネクションの強化、公務員の仕事のPRといった活動に、これまで以上に注力していくことが大切です。(了)

◇植村隆生(うえむら・たかお)氏のプロフィル
1972年東京都生まれ。東京大学法学部卒業。人事院に入り、給与局参事官、同生涯設計課長、同給与第三課長、人材局企画課長、事務総局企画法制課長を歴任。総務省、産経新聞社、米国ワシントンDCでの勤務経験もある。

【いま公務の現場では】

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