2022/令和4年
105日 (

インタビュー 【トップインタビュー】市民に寄り添った施策を=石山志保・福井県大野市長 2021/10/29 08:30

石山志保・福井県大野市長

 福井県最大の面積を誇る大野市。名水100選の「御清水」や、環境省の調査で過去に2年連続で選ばれた「日本一美しい星空」などに恵まれる。一方で高齢化率は10月1日時点で37%と、全国平均を大きく上回る。急激な人口減少の中、石山志保市長(いしやま・しほ=47)は「市民に寄り添った施策が行政から出せたら、市民も自信をもってさまざまな活動に取り組んでくれる」との考えの下、市民との対話を重ね、数々の施策を打ち出している。

 市は4月、今後10年を見据えた「第6次大野市総合計画」に基づき大規模な機構改革を行った。計画は「こども」「健幸福祉」「地域経済」「くらし環境」「地域づくり」「行政経営」の6分野で構成。計画に合わせ部署も六つに再編した。

 こども分野の再編では、教育委員会に幼保小中教育を移管。ゼロ~18歳の子育てを市が支援するため、「大野ですくすく子育て応援パッケージ」を強化した。20歳の学生までの窓口医療費を無料化するなどの全国屈指の施策があるほか、新たに移住者を含めた子育て世帯への住環境支援を拡充。「自分と違う人格を持つ人間を育てるのは不安がある。『助けがあるよ、楽しみがあるよ』とPRする」。こう話す自身も、結婚をきっかけに大野市へ引っ越してきた1人だ。

 健幸福祉部では「今、大野にいる人たちを元気に」との考えで、スポーツと福祉、医療を組み合わせた。教育委員会所管のスポーツ分野を同部に移管し、高齢者らに手軽な運動を促す。その一つがウオーキングで、今年は市のウオーキングプログラムに約700人が参加する。「適度に体を動かし、コミュニケーションをとることが健幸長寿につながる」と説明する。

 観光戦略は地域経済部が担う。「高速交通アクションプログラム」で北陸新幹線延伸や中部縦貫自動車道開通を軸とした経済活性化を狙う。「国宝や世界遺産級の資源はないが、一生懸命活動している人がたくさんいる」。市は六呂師高原から見える星空を観光資源としてアピール。23年度に国際ダークスカイ協会の「星空保護区」に認定されるよう、情報発信や環境保全に力を入れる。

 観光地化を進めるに当たり、市の予算を極力かけないことにこだわった。「観光客からいただいたお金で事業展開をする。そうでないと大野にいる人がくたびれてしまう」と、対価に見合った良質なサービス拡充を民間と進める。

 6次計画は2年かけて市民とワークショップや説明会を重ねて作り上げた。国連の持続可能な開発目標(SDGs)を取り入れた一方、コンサルタントに委託しなかったのも特長だ。「みなさんのできること、やりたいことを一緒になってやっていく」と10年先を見据える。

 〔横顔〕愛知県安城市出身。東大工学部卒、環境省を経て夫の故郷の大野市へ移り住む。2005年から同市役所に勤務。18年同市長に就任。趣味は歩いて街のよさや変化を発見する「まち歩き」「むら歩き」。

 〔市の自慢〕名水、「天空の城」と呼ばれる越前大野城、日本一の星空など。こうした繊細な資源と「進取の気象」あふれる市民が作る「滋味のある市」。

(了)

(2021年10月29日iJAMP配信)

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