2022/令和4年
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インタビュー 【トップインタビュー】財政健全化は「未来のため」=伊藤祐三・長野県駒ケ根市長 2021/11/04 08:30

伊藤祐三・長野県駒ケ根市長

 中央アルプスと南アルプスに囲まれた長野県南部の駒ケ根市。大自然に恵まれた山岳観光都市の課題は財政の立て直しだ。財政健全化を公約に掲げて2020年1月に初当選した伊藤祐三市長(いとう・ゆうぞう=61)は、「行政は未来の市民にも責任を負う。財政再建は未来のためだ」と語る。

 市は過去の大型公共事業などで財政が悪化。将来にわたって支払う借金の規模を示す将来負担比率は17年度に197.2%に達した。20年度は143.3%にまで改善したが、県内19市平均(35.9%)より桁違いに悪く、21年8月時点の暫定値では19市中最下位だ。伊藤市長は21年3月に財政再建プランを出す予定だったが、新型コロナウイルス禍を受けて22年3月に先送りした。

 国だけでなく、財政再建は地方でも不人気な政策だが、「まちの台所が厳しいことは高校生も承知している。国と違い、自治体はお札を刷れない。自分のところでやりくりしないといけないことを市民は分かっている」と、市民の理解に自信を示す。

 既に公共施設を延べ床面積で10年間に10%減らす数値目標を示したが、目指すのは「単なるリストラではなく、次の時代への備えになる再編計画」だ。保育園を例に挙げ、「再編統合すると同時に、新しい保育の姿をこれから進めていく。リストラではなく、新たな創造だ」と説明。「近視眼的な話をするのは楽だが、自分が働いている意味がない」と言い切る。

 コロナ後を見据えた地域振興策も急ぐ。20年春に念願の国定公園に指定された中央アルプスの山小屋改修・増築の費用に充当するため、クラウドファンディングを市として初めて実施。目標の3倍の900万円が集まった。今秋には時速20キロ以下の電気自動車で市内を巡る「グリーンスローモビリティ」の実験も行った。結果を検証し、観光客の将来の「足」にと期待する。

 市内には、国際協力機構(JICA)青年海外協力隊の訓練所や、青年海外協力協会(JОCA)本部もある。目指すのは、多様性を尊重する「広場のようなまち」。草の根の国際交流に加え、将来は「アジア版ダボス会議をやりたい」と意気込む。

 〔横顔〕毎日新聞社や共同通信社を経て20年1月に初当選。趣味は映画観賞。「本当は映画監督になりたかった」。妻と大学生の息子2人は東京在住。

 〔市の自慢〕中心部から車で30分走れば市の端にたどり着くコンパクトなエリアに、大自然や温泉、地ビールの施設、古寺などが「ぎゅっと詰まっている」のが最大の魅力だ。

(了)

(2021年11月4日iJAMP配信)

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