2022/令和4年
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インタビュー 【トップインタビュー】職員の意識改革を徹底した8年=加藤久雄・長野市長 2021/11/08 08:30

加藤久雄・長野市長

 2期8年を務めた長野市の加藤久雄市長(かとう・ひさお=79)が10日、退任する。市民目線に立った市政運営を進めるため、就任直後から、「市民はお客さま」という意識を職員に根付かせることを重視。「さまざまなリスクに対し先頭に立って対処できる職員が育ってきた」とうなずく。2期目の後半は、2019年の台風19号による災害や、新型コロナウイルス感染拡大への対応に奔走。「まさにダブルパンチだ」と、危機管理に追われた日々を振り返った。

 19年10月、台風19号の影響で市内に流れる千曲川の堤防が決壊。約4300世帯が浸水するなど、大きな被害が出たが、台風接近時には自ら防災無線で住民に避難を呼び掛けた。警察などが避難を求めても逃げない人が多かったためで、「市長の声で呼び掛けたことで、危機感を覚えて避難した人もいた。いざとなったら、行政のトップが(市民に)逃げる動機をつくる必要がある」と語る。

 台風被害からの復旧に取り組む中、今度は新型コロナが猛威を振るった。感染拡大に伴い医療提供体制の確保が課題となったが、医療機関との連携は円滑に進んだという。市はコロナ前に、職員と市内4病院の院長らとの懇親会を年1回開催。「事前に築いていた人間関係がコロナ禍で力を発揮した」と話す。

 コロナで打撃を受けた市内経済の回復や人口減少への対応など、市政の課題は山積している。五輪金メダリストでもある次期市長の荻原健司氏は知名度は抜群で、「発信力が非常にある。長野をどのように発信していくのか」と、その手腕に注目。その上で、「新型コロナの影響で生まれた経済格差や貧困の問題に光を当てる政策も大事だ」と注文する。

 退任後については「活発な活動を続けたい」。市長に就任する前は長野商工会議所会頭を務めていたこともあり、「経済と行政のトップになった経験を生かし、社会、市民にどのように貢献できるかを考えていきたい」と、さらなる挑戦を見据えた。

〔横顔〕会社役員や長野商工会議所会頭などを経て、13年の市長選で初当選。毎朝、自宅から市役所までをランニングして登庁する。

〔市の自慢〕冬季五輪開催都市のブランド力に加え、「ボランティアの力も群を抜いている」という。はっきりとした四季があることや、豊かな自然も魅力。

(了)

(2021年11月8日iJAMP配信)

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