2022/令和4年
105日 (

インタビュー 【トップインタビュー】「住んでいただく職住近接」目指す=影山剛士・静岡県湖西市長 2021/11/09 08:30

影山剛士・静岡県湖西市長

 静岡県の西端にある湖西市(5万8682人)は、トヨタグループの創始者豊田佐吉の生誕地として知られる。浜松市と愛知県豊橋市に挟まれ、トヨタ系企業の工場などが進出する一方、養豚や農業、漁業も盛ん。しかし、湖西市内の工場労働者らは、生活に便利な大都市での居住を望み、人口減少が長年の課題となっている。2020年11月に無投票で再選された影山剛士市長(かげやま・たけし=47)は「働くだけではなく、住んでいただく職住近接を実現するためには何をすべきかを考えてきた。子育て・教育、産業振興、観光・シティプロモーション、安心安全・医療福祉の4本柱で取り組んでいる」と強調する。

 昼間人口が約7万人という市の域内総生産(GRP)は6859億円で、全国の市町村の中で19位。しかし、市外での物品購入や市外通勤者による所得流出などで、市内で使われる金額は約2700億円しかない。「4000億円余が市外に流出してしまっている。この流れを何とかしないといけない。ベッドタウンでは逆なわけだから」と元財務官僚らしくデータに基づき説明する。

 定住を促進するため、市内の協力事業者に就職し、居住した人向けに最大72万円の奨学金返還支援制度を創設。子どもの医療費助成を高校生まで引き上げたほか、市内に住宅を購入または建築して住む人には最大で100万円を支給する制度も作った。

 それでも定住が進まない背景には、家を建てられる市街化区域が狭い上、駅前など宅地向きの土地は古くからの地主が所有し売買が少ないという地域事情がある。そこで、宅地売買した際に地主と開発業者にそれぞれ奨励金を市が支払う制度を新設した。「駅前の畑のまま、山のままになっている土地を何とか開発して、もっと宅地の出物を増やしたい」と情熱を傾ける。

 浜松市内にある東名、新東名高速道路のインターチェンジから愛知県豊橋市までを結ぶ「浜松湖西豊橋道路」の建設計画もあり、工業・商業用地も足りない。土地利活用推進本部を立ち上げ、庁内の取りまとめを行う「統括監」を11月から置いた。「雇用のない所に人は来ない。どの企業がどのくらいの土地を必要としているか、しっかり調査してバランスよく開発したい」と語る。

 この他、運転免許を返上した高齢者ら市民の足として、企業が社員の通勤用に走らせるシャトルバスを活用する実証実験も昨年から始めた。全国初の試みでもあり、「市民がなるべく家の近くから病院や買い物に行けるように。企業といい関係を築きながらやっていきたい」と快活に笑った。

 〔横顔〕湖西市出身。早稲田大法学部卒。「体を動かすのが好き」と言い、新型コロナウイルスの感染拡大で増えた自宅にいる時間は筋トレに費やす。野球やラグビーなどの観戦も趣味。

 〔市の自慢〕「人の温かさが一番」。名物は春の訪れを知らせる「もちがつお」。釣ってすぐにしめたカツオを血抜きして冷やすと、もちもちの食感になる。数時間しか状態を保てないが、「普通のカツオとは全く違う」。

(了)

(2021年11月9日iJAMP配信)

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