2022/令和4年
108日 (

インタビュー 【トップインタビュー】「子育て世代を支えるまち」実現=杉本基久雄・静岡県牧之原市長 2021/11/12 08:30

杉本基久雄・静岡県牧之原市長

 全国有数のお茶の産地として知られる静岡県牧之原市。10月に再選された杉本基久雄市長(すぎもと・きくお=64)は2期目の課題として「子育て世代を支える『日本一女性にやさしいまち』」の実現を掲げる。新生児への特別給付金に加え、ホテル・商業施設の誘致などを通じてにぎわいがあるまちを創出、少子化対策にもつなげると強調する。

 同市は静波海岸に代表される美しいビーチが観光客をひきつけてきたが、近年、大規模地震・津波への懸念から、海岸部地域が住宅地として敬遠されて人口が流出。同市の年間出生者は10年で約45%減少した。津波避難タワーなどを建設したが、それでも子育て世代が減っており、「一番の課題は少子化だ」。

 こうした実態を踏まえて、昨年政府による1人10万円の新型コロナウイルス対策の特別定額給付金を受け、その後に生まれた新生児にも市が同額を支給して子育て世代を支援。中学生までの子を持つ世帯が自宅を建てる際、移住者だけでなく市民も含めて土地取得費や建築費などの一部を支援する制度も始めた。マイカー購入費を含め最大100万円支給しており、「働く世帯が職住接近を実現し、定住してもらいたい」と熱く語る。

 鉄道が通らない同市には、駅前商店街がない。雇用の創出に加え「にぎわい」を求める若い世代を意識して、①東名高速牧之原市インターチェンジ隣接地への大規模商業施設の誘致推進②米国サーフィン代表が東京五輪の事前合宿に利用したウエーブプール「静波サーフスタジアム」を核とした地域づくり―にも力を入れる。

 ウエーブプールは、市が認可手続きなどで支援し、「サーフィンを目的に移住する人もいる」という期待の施設。近隣で新たなホテル建設が具体化しつつあるほか、飲食・小売店への補助を通じて出店誘致を進めている。

 このほか若年層の定住拡大に向けて、地域金融機関などと協力して県外の大学に進学する学生を対象に①金利2%の奨学金②Uターン就職者への奨学金の金利免除③地元企業の就職情報を提供―などの「おかえり事業」を立ち上げた。

 同市などに広がる牧之原台地は、茶の栽培面積で日本最大級を誇る。しかし、静岡県の茶生産額は2019年、鹿児島県に首位の座を譲った。生産規模が大きい鹿児島に対して、静岡は歴史のある高級茶葉の小規模生産者が多い。ペットボトルが普及する中で高級茶葉の需要が減り、「生産コストが要因で鹿児島に抜かれてしまった」。

 高級茶葉の生産を維持する一方で、生産者の高齢化も踏まえて量産品のコスト引き下げに向けた大規模圃場(ほじょう)の整備を進める考えだ。

 〔横顔〕趣味はウオーキング、家庭菜園、カラオケ。座右の銘は「できない理由を考えるのではなく、どうしたらできるかを考える」。

 〔市の自慢〕日本有数の茶生産量。15キロに及ぶ美しい海岸線がある中で今夏完成した、日本初のサーフィン専用ウエーブプール「静波サーフスタジアム」。

(了)

(2021年11月12日iJAMP配信)

同一カテゴリー記事