2022/令和4年
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インタビュー 【トップインタビュー】世界遺産登録機に交流・定住人口増やす=伊集院幼・鹿児島県大和村長 2021/11/16 08:30

伊集院幼・鹿児島県大和村長

 奄美大島のほぼ中央に位置する鹿児島県大和村。現在と同じ11集落で1908年(明治41年)以来存続する県内最古の村だ。8月に無投票で4選を果たした伊集院幼村長(いじゅういん・げん=60)は、沖縄本島や徳之島などとともに世界自然遺産に登録されたのを受け、国の特別天然記念物「アマミノクロウサギ」の飼育・展示施設の具体化を急ぐ。農業振興を目的に2017年に設立した村出資の合同会社をてこ入れするなど、「活性化の起爆剤として新たな観光ルートをつくり、交流・定住人口を増やしたい」と意欲を示す。

 飼育・展示施設は、建物設計と展示内容を詰めている段階で、24年度の開設を見込む。総事業費は約6億円。国の「奄美野生生物保護センター」に隣接し、交通事故などでけがをして保護されたクロウサギのリハビリ機能を備える予定だ。

 クロウサギが絶滅危惧種に指定される要因となった外来種マングースの駆除が進む一方、事故に遭うクロウサギが増加。「生きた固有種の単なる展示ではなく、奄美の自然全体に興味をもってもらう施設にしたい」と強調する。

 4期目の公約の柱に位置付けたのが、農業振興に向けた合同会社の拡充。これまでは、村から撤退したJA支所の業務を引き継ぎ、肥料や農薬、農業機械などの販売・宅配を手掛けてきたが、今後は休耕地の借り受け面積を増やすなど、特産のタンカンやスモモの生産支援体制を強化する。栽培面積を広げて収穫量を増やし、6次化商品の充実につなげたい考えで、「就農希望者らにノウハウ伝授から農作業の補助、農薬散布受託などを一手に引き受けていく」と語る。

 財政健全化に取り組んだ結果、財政の弾力性を示す「経常収支比率」は08年度の95.0%から19年度には90.3%と県内全43市町村中12位まで改善された。今後は村の活性化に向け、合同会社が計画する観光農園のほか、検討中の「道の駅」、誘致した民間温泉・宿泊施設との相互連携による取り組みを重視。「コロナと共生しつつ、ダイナミックな海・山を堪能し、滞在中、切れ目のない感動を与えられるような新たな動線を観光客にアピールしたい」という。

 また、村では人口減少や高齢化が進むが、世界遺産登録を機に予想される交流人口の定住化をにらみ、「高校生までの医療費無償化や新築住宅への助成をはじめとした既存施策と合わせ、総合的に人口減対策にアプローチしていく」と語る。

 〔横顔〕81年大和村役場入り。建設課長補佐を経て09年に初当選。「有言実行」を信条に「高齢化が進んでも持続可能な村づくり」が最大のテーマ。趣味はウオーキングや水泳、ゴルフ。休日は庭木の手入れに精を出す。妻(63)と長男(34)の3人暮らし。

 〔村の自慢〕奄美の基幹作物はサトウキビ。17世紀初頭、漂流先の中国福建省で栽培技術と黒糖の製法をひそかに学び、命賭けで苗を持ち帰ったのが直川智翁。この日本の製糖の始祖を祭る開饒(ひらとみ)神社は村民の精神的支柱だ。

(了)

(2021年11月16日iJAMP配信)

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