2022/令和4年
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インタビュー 【トップインタビュー】地に足着いたデジタル化=今井敦・長野県茅野市長 2021/11/22 08:30

今井敦・長野県茅野市長

 長野県南部の高原都市、茅野市。人口減少と財政硬直化が加速する10~20年先を見据えて、最先端技術を活用する国家戦略特区「スーパーシティ」に応募した。今井敦市長(いまい・あつし=60)は、提案について「地に足が着いていて派手さはない」とした上で、「必要なところに人手を集中させるため、デジタルを使う」と説明する。

 人工知能(AI)やビッグデータなどを活用する国のスーパーシティ構想には、同市など28地方公共団体がエントリーした。国家戦略特区作業部会などの検討を経て、政府が指定する。

 茅野市は四半世紀前から、住民が主体的に参加する「パートナーシップのまちづくり」に取り組んでいる。「団塊の世代」も当時はまだ現役。「自助、共助、公助」の考えに基づき、いち早く始めたごみの細かな分別収集などを「マンパワーで押し切ってきた」という。

 だが人口減と財政難で、現在の公共交通や医療提供体制を維持するのは難しい。少ない若者に地域の負担が集中する問題も出てきた。市はデジタル・トランスフォーメーション(DX)に活路を見いだし、市民と職員が共同でスーパーシティ提案を練り上げた。

 スーパーシティの特長の一つは、さまざまな情報を組み合わせて有効利用する「データ連携」だ。採択されれば、補助金でシステム基盤を整備できる。

 市のデータ連携の例では、病院に診療予約を入れると、自動的にオンデマンド・タクシーが自宅まで手配されるといったことが可能になる。また持病や服用薬などが登録されていれば、災害時の薬や治療の提供にも役立つ。

 市の提案は「アナログとデジタルの世界をどう仕分けるか」という発想だ。市内を襲った8月の集中豪雨の際、行政の避難指示よりも有効だったのは、近所の声掛けだった。消防団は避難所を移る住民を支援した。「最後は人」というアナログ的な部分はなくならない。一方で県との災害情報共有をデジタル化した結果、地元対応に集中できた。仕分けの一例だ。

 コンサルタント会社に頼らずに作り上げた市のスーパーシティ提案は、「今までやってきた『パートナーシップのまちづくり』の積み重ねの上にある」。市民との懇談会では「あれが欲しい、これが欲しいではなく、違う視点でこのまちをどうしていくかを一緒に考えてもらいたい」と呼び掛けている。

 〔横顔〕学生時代はバンドをやっており、最近また古いギターを弾き始めた。母と妻の3人暮らし。

 〔市の自慢〕200カ所以上ある縄文遺跡や蓼科、八ケ岳。車山高原にテラスができ、天気のいい日には360度大パノラマで富士山が見える。

(了)

(2021年11月22日iJAMP配信)

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