2022/令和4年
108日 (

インタビュー 【トップインタビュー】共生のまちづくりへ=羽田健一郎・長野県長和町長 2021/11/25 08:30

羽田健一郎・長野県長和町長

 長野県のほぼ中心に位置する長和町。このほど再選を果たした羽田健一郎町長(はた・けんいちろう=75)は、5期目の抱負について「地域共生社会をまちづくりの目玉にしたい」と語る。

 町内には、社会福祉法人樅の木福祉会(神戸市)が運営する障害者支援施設「山の子学園共同村」がある。1977年に開設され、入所者に居住と活動の場を提供してきた。施設の老朽化や入所者の高齢化が進み、現在の山奥から町中の町有地に移転する計画だ。

 一部住民には移転への慎重論もあった。「地元と丁寧に話し合い、ご理解いただいた。障害のある人たちと共生して社会をつくっていく時代だ」と話す。公約の一つに「心豊かに共生ができる社会福祉」を掲げた。

 県政にも影響力がある有力首長だが、多選批判で町長選は苦戦を強いられた。長和町は2005年に旧和田村と旧長門町が合併して誕生した。村長時代から数えると、首長在任は8期目になり、現職では県内最多だ。

 長野県町村会会長、全国町村会副会長も務める。「多選だからこそ、町村会の役員が回ってきた。人脈もでき、それが町のためにもなっている」と反論。慢心やマンネリ化を招く恐れについては、信条の「初心忘るべからず」で自らを律するという。

 5期目の課題は重い。特別措置法で町内全域が過疎地域に指定されている。移住・定住促進へ住宅建設や宅地造成を進めてきたが、人口減は食い止められていない。

 長野県の全77市町村のうち58が町村だ。「国は『令和の大合併』を考えているかもしれないが、数合わせや効率だけでやってもらいたくない。行政が身近な存在なら、住民が幸せを感じる」として、国には「小さい行政」の存在意義を訴える。

 自助努力も怠らない。長和町は行政事務の民間委託に踏み切り、年間数千万円もの節減につなげることを目指す。委託企業の社員が、町営別荘の管理から町長秘書までを担う。「そういう形にしないと、これからの時代は人件費でつぶれてしまう」。

 新型コロナウイルス禍で地方移住への関心が高まり、転入が転出を上回る月も出てきた。「田舎が見直されてきた。しっかり対策・対応をしていけば、(人口減)問題解決の糸口が見つかってくるのではないか」と前を向く。

 〔横顔〕母親と故羽田孜元首相がいとこ同士。急逝した故羽田雄一郎元国土交通相は、はとこに当たる。「羽田家こそ保守本流」が持論。妻と2人暮らし。

 〔町の自慢〕7月にオープンした「星くそ館」が人気。縄文時代の黒曜石採掘の様子が分かる。長和町産の黒曜石は良質で、産地は他にもあるが「うちが本家」。

(了)

(2021年11月25日iJAMP配信)

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