2022/令和4年
105日 (

インタビュー 【トップインタビュー】人口急減に危機感、定住策に全力=早田順一・熊本県山鹿市長 2021/12/08 08:30

早田順一・熊本県山鹿市長

「(1市4町が)合併した2005年と比べると、山鹿市の人口は1万人近く減少している。何も施策をしなかった場合の想定をも下回っている。危機的な状況だ」。熊本県議から転身し、今年2月に就任した早田順一市長(はやた・じゅんいち=54)は強調する。

 熊本県北部にある山鹿市の基幹産業は農業。栗、タケノコ、スイカの国内有数の生産地で、菊鹿ワイナリー、山鹿シルクも有名だ。市は旧山鹿市、鹿北町、菊鹿町、鹿本町、鹿央町が合併して誕生し、当時の人口は約6万人。早田市長によると、市が15年に策定した長期人口ビジョンの想定以上に人口が急減している。

 人口減を食い止めるカギは若者だ。山鹿市には高校が4校あるが、市内で就職するのはわずか1割台。残りは大学進学組も含め、熊本市など県内、県外へ流出する。「企業とのミスマッチがあるかもしれないが、とにかく働く場所を確保しないと、どんどん若い人が出ていく」と危機感を募らせる。

 「市の職員も気付いているようで気付いていない。行政だけでなく、市民の人たちにも危機感を持ってもらわないといけない」。そこで、来春庁内に立ち上げるのが、総合戦略室。この部署で10年後、15年後の市のあるべき姿を描き、プランを練っていく。総合戦略室設置に向けた準備室が職員からアイデアを募集したところ、これまでに約200のアイデアが集まった。企業誘致や子育てプランなど柱をつくり、1年かけて具体的な計画を肉付けする。

 大学卒業後、すぐに家業の木工業を継いだ。「(地元の)商工会青年部や青年会議所に誘われ、まちづくりをする中で自分たちの意見が思うように通らなかった。それなら自ら議員になって意見を述べたらいいのではないか。政治の道に入っていく考えが強まった」という。

 31歳のとき、合併前の鹿北町の町議に立候補。その後、市議を経て県議を4期14年務めた。県議時代には「農業など何にしても一つの課題を県全体の課題としてみる考えができた」。昔から「心の中では首長になりたい」との思いがあり、4期務めた中嶋憲正前市長が引退するのを機に市長選に出馬した。

 「(山鹿市には)いいものがあるが、まだまだ磨きが足りない。ポテンシャルをどんどん発信し、どうにか活性化させたい。総合戦略室ではっきり分かるように『見える化』していきたい」と力を込める。

〔横顔〕旅行が好き。九州各地の温泉に行くが、やはり地元の山鹿温泉が一番いいと実感。

〔市の自慢〕1910年に建設された芝居小屋「八千代座」。国の重要文化財に指定され、歌舞伎俳優の坂東玉三郎さんや市川海老蔵さんが公演に来る。市はeスポーツに力を入れており、八千代座で大会を開く構想もあるという。

(了)

(2021年12月8日iJAMP配信)

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