2022/令和4年
105日 (

インタビュー 【トップインタビュー】集落間格差解消へ関係・交流人口増=竹田泰典・鹿児島県龍郷町長 2021/12/09 08:30

竹田泰典・鹿児島県龍郷町長

 奈良・東大寺の献物帳に記され、約1300年の歴史を持つ「本場奄美大島紬(つむぎ)」の郷として知られる鹿児島県龍郷町。10月に再選を果たした竹田泰典町長(たけだ・やすのり=70)は「人口減少の影響を緩和する妙手はない。近居、遠居、『風の人』との関係を密にしつつ、世界自然遺産登録を追い風に交流人口の滞在時間を増やすために知恵を絞りたい」と話す。全20集落の中で住民増減の格差が目立つ一方、本土都市圏からのI・Uターン者は増えつつあり、「子育て支援を拡充しながら、定住促進に向け手堅くプラスのループをつくっていきたい」と意欲を示す。

 島北部の空港と奄美市街の中間という条件に恵まれ、3月末の人口は5944人と過去10年の減少率は3%にとどまる。市街地やリゾート周辺の8集落で最大27%増える一方、周辺部では40%減らした集落もある。竹田氏は、アップルマンゴーやドラゴンフルーツをはじめ「農業、地場産業、観光の振興策はいずれも道半ば。子どもからお年寄りまで生き生きと過ごせるようハードやソフトでできることはまだ多い」とみている。

 町は、世界遺産登録を見据え、住民の減った集落に郷土料理を目玉とした飲食・宿泊施設「荒波(あらば)龍美館」を整備。2021年1月には移住者相談支援センターを併設し、U・Iターン者らと20軒以上の空き家契約につなげた。県が進めた徒歩ルート「奄美トレイル」とは別途、独自に「たつごうサイクルプロジェクト」4コースを設定。電動アシスト付自転車3種を用意し、22年春にも観光客向けに貸し出す。

 雄大な東シナ海の眺望や、「着物の女王」とも呼ばれる大島紬の泥染め・織り体験を広大な亜熱帯植物庭園の中で楽しめる施設などの発信を強化。竹田氏は「長く滞在してもらう仕掛け」の一環として「教育民泊」を挙げ、本土からの修学旅行客が集落と交わり、島の風習や歴史などを学ぶ場づくりにも取り組む。

 1期目には、共働き世帯の子どもを預かる「ファミリーサポートセンター」を開設したほか、出産祝い金制度や高校生までの医療費無償化を実現した。「3年後をめどに(町にない)認定こども園を整備して幼児教育の環境を整え、役場近くの農産物加工施設はフィットネスルームなどを備えた複合施設に建て替えたい」といい、住民サービス向上へ「スピード感を持って施策を展開していく」と強調した。

 〔横顔〕1972年旧龍郷村(現龍郷町)役場入り。総務課長、副町長を経て17年に初当選。公共事業受注をめぐり選挙ごとに町長が入れ替わっていた政争を踏まえ、「公平・公正な町政運営」に腐心してきた。趣味はスポーツ観戦。2男1女は独立し、妻(69)と二人暮らし。

 〔町の自慢〕樹齢80~100年の巨木が生い茂り、国の天然記念物ルリカケスをはじめ貴重な固有種や生態系を体感できる「奄美自然観察の森」。ハート型の潮だまり「ハートロック」は待ち受け画面にすれば恋がかなうと観光客が集まる。

(了)

(2021年12月9日iJAMP配信)

同一カテゴリー記事