2022/令和4年
105日 (

インタビュー 【トップインタビュー】先進的取り組みで県、国を後押し=笹原靖直・富山県朝日町長 2021/12/10 08:30

笹原靖直・富山県朝日町長

 新潟県との県境近くに位置し、「日本渚百選」に選ばれたエメラルドグリーンのヒスイ海岸が広がる朝日町。2期目の笹原靖直町長(ささはら・やすなお=67)は「高齢化率が非常に高い朝日町で先進的な取り組みをすることで県や国を後押しし、応用できるのではないか」と語り、人口約1万1000人ながら先駆的な子育て支援や教育施策を展開する。

 就任時に公約として掲げた「県下一の子育て支援」は、「日本一の子育て応援」へ転換。背景には自身も3人の子どもを育て、「女性が子どもを産み育てるは大変なことだ」と実感した経験や町民の提言がある。2016年4月から、県内で先陣を切って高校生までの医療費無償化を実施。他にも保育所などを利用せずに生後6カ月~3歳児を育てる家庭を助成する「おうち子育て応援事業」や中学校給食の完全無料化を進め、「生まれてから社会に出るまでのトータル支援」を加速させてきた。

 将来を担う子どもへの「先行投資」と位置付ける教育では、新型コロナウイルスの流行前から情報通信技術(ICT)教育を推進。小学校でいち早くデジタル教科書を導入し、町内の2校はいずれも文部科学省が指定する実証研究校に選ばれた。教育環境の充実には「マンパワーがあったことが大きい」と地域の支えを強調する。22年度には保小中一貫教育が始まり、部活動の地域移行と併せて地域ぐるみの子育てを本格化させる方針だ。

 全国に先駆けた取り組みができる要因に挙げるのは、「行政が住民を後押しする姿勢」。形式的なものから破天荒な案は出ないとの考えから、「フリーハンドで全てを任せるのがポイント」という「朝日町再生会議」を設置。公募による委員の意見を町の総合計画に反映させるなど、住民と一体でまちづくりを進めてきた。

 さらなる少子高齢化や人口減少を見据え、これからは「健康な人が健康でない人を支えていく」視点での仕組みづくりが必要と訴える。その一例が、10月に本格運行を開始した乗り合い公共交通サービス「ノッカルあさひまち」だ。高齢者の移動手段確保という地方の課題を住民の自家用車を用いた助け合いにより解決し、「自助・共助・公助が表れた結果だ」と胸を張る。

 サービスを共に立ち上げた博報堂とは連携協定を締結。町は「他自治体の成功例を追従することで精いっぱいの規模」という自覚から、民間の力を積極的に取り入れる。今後はデジタルトランスフォーメーション(DX)を活用し、健康や商業分野でも住民の利便性の向上を目指す。

 ただ、これらの取り組みは自治体関係者からの反響が大きい一方、町民に十分に知られていないという。「町の良さに気付いてもらえるよう、情報発信も含めて行政の見える化を図っていきたい」と力を込める。

 〔横顔〕町議を経て14年6月初当選。「議員時代に仲間と議論を重ねたからこそスピーディーに政策を進められる」。

 〔町の自慢〕4月の風物詩「春の四重奏」。雪化粧の朝日岳を背景に桜並木、チューリップ、菜の花が共演する。今年はコロナ禍にもかかわらず過去最高となる4万9966人が訪れた。

(了)

(2021年12月10日iJAMP配信)

同一カテゴリー記事