2022/令和4年
108日 (

インタビュー 【トップインタビュー】人口争奪戦より人づくり=壬生照玄・長野県高森町長 2021/12/13 08:30

壬生照玄・長野県高森町長

 南信州の特産品「市田柿」発祥の地で、天竜川西岸の河岸段丘に広がる長野県高森町。2期目に意欲を示す壬生照玄町長(みぶ・しょうげん=51)は、地方創生について「人口を奪い合うのではなく、地域のことを考えられる人材をどれだけ育てられるかだ」と語る。

 同町には隣の飯田市などから年300~400人が転入する。田舎ならではの人の良さや近所付き合いが残るが、都会から来た人は地域活動への意識が希薄。そういう「クールな」人も地域と交わるうちに「自然と『自分たちもやらなきゃ』という姿に変わっていく」という。田舎と都会の考え方が溶け合い、発展の可能性を秘めるところが町の一番の魅力だと話す。

 常に「行政がやることは何なのか」を意識する。「行政主導よりも住民自治」を掲げ、職員には「プレーヤーではなく、マネジャーになれ」と言ってきた。

 町には住民からさまざまな要望が届くが、必ず「あなたはどう関わってくれるのか」と問い掛ける。財政事情は厳しく、何でも行政頼みは無理。「自分たちで作り上げ、町が手伝う」思考への転換を求めてきた。

 最近では、町の若手が町営キャンプ場の事業化を自ら検討する動きも出てきた。「若い人ががんばると引っ張られる人が出てくる」。

 日本全体で人口減が進む中、各自治体の対策は若者争奪戦の様相を呈している。高森町は、移住者を受け入れる一方、「(若者が)町で育ちこの地で貢献する、あるいはUターンで戻ってくる」ことを目指し「地域人教育」に注力する。

 地元の中学校では、企業や自治会、農家に全校生徒を派遣して、さまざまな体験をさせている。晩秋から初冬の風物詩「柿すだれ」と古民家の写真スポットが人気を集めたが、考えたのは地元の中学生だった。地域貢献の成功体験で「まちづくりに興味を持つ子が増えてきた」。

 子供だけではない。まちづくりのために大人が学び直す社会人塾ネットワーク「熱中小学校」が高森町にもある。旧植物園の施設を活用し、一流企業の社長や有識者から刺激的な講義を受けられる。まちづくりは人づくりだ。

 〔横顔〕高森町経営企画課長など経て2018年1月に町長に。実家はお寺。僧侶としてお経を上げたり、法話をしたりできる。趣味はスポーツ観戦。座右の銘は、自分を忘れて他人に尽くす「忘己利他」(もうこりた)。妻と子2人とで暮らす。

 〔町の自慢〕市田柿とリンゴ。カヌー競技の全国大会も開かれる。リニア開通は「南信州の夜明け」。天竜川を生かすまちづくりを急ぐ。

(了)

(2021年12月13日iJAMP配信)

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