2022/令和4年
930日 (

インタビュー 【トップインタビュー】人口流出「いかに引き留めるか」=片山篤・岡山県久米南町長 2021/12/14 08:30

片山篤・岡山県久米南町長

 岡山県のほぼ中心部に位置し、豊かな自然環境に恵まれた久米南町で、現在2期目を務める片山篤町長(かたやま・あつし=63)は「ずいぶん前から、子どもの数は顕著に減少していた」と指摘する。「町として手を打つのが遅かった」と嘆く一方で、「いかに(人口流出を)引き留めるかが重要だ」と強調する。

 1954年の町誕生以降、合併せず単独の自治体として存続してきたが、2017年には人口が5000人を割り込み、65歳以上の比率も45.2%を占めるなど、県内自治体でも特に深刻な人口減少と高齢化が大きな課題となっている。

 町では基幹産業である農業振興の一環でふるさと納税に力を入れてきた。寄付額は、開始当初の13万円から2019年度には4800万円まで増加。この寄付金を町の重点施策である子育て支援策などに配分した。

 具体的には、18年度には、出産時に贈る「すこやかエンゼル祝金」、小中学校入学時と中学校卒業時に贈る「カッピー子育て支援金」という二つの制度を創設。18歳までの医療費無償化や不妊・不育治療費の助成なども継続的に行っており、「子育て世代への手厚い支援などが奏功し、子どもの減り方も少なくなってきた」と手応えを見せる。

 移住促進に向け、空き家対策にも力を入れる。町内には約300戸の空き家が点在しており、うち4割は家屋の腐敗などで修復不可能な状態だ。町は、空き家バンクへの登録件数アップに向けても奔走するが、伸び悩んでいるのが現状だ。

 空き家の利活用に関しては「公共施設として利用することは町の財政的に難しい」とする一方で、「(空き家物件を探す際に)町を仲介してもらうことで、その自治会の活動や地域との関わり方についても丁寧に説明できるので、ぜひ活用してもらいたい」と強調する。移住希望者に対しては、町職員が現地案内を行うだけでなく、農作業体験や先輩移住者との交流会を設けるなど、オーダーメードに対応している。

 20年7月の町長選で無投票再選。「とにかく人と話すのが好き。(町長は)天職だ」と誇らしげに語る。同町出身。大学進学を機に町を出て、トラック運転手として、全国各地を回った。その後、町に戻り地元の青果卸会社に就職。約20年間卸売市場に通い、競り人を務めた経験がある。

 「毎日何百もの人と話した。現場で重要なのは一瞬の流れを即座に把握する判断力。そういう判断力とスピード感は、この仕事に生きてくる」。これまでの経験を経て、そう実感している。

 〔横顔〕草刈りが趣味。時間があるときは、動画投稿サイト「ユーチューブ」で草刈り動画を見る。酒はいくら飲んでも酔わないが、実はあまり好きではない。

 〔町の自慢〕町内には日本の棚田百選に選ばれた棚田が2カ所ある。特産のキュウリ、ユズは県内一の出荷量を誇る。

(了)

(2021年12月14日iJAMP配信)

同一カテゴリー記事