2022/令和4年
105日 (

インタビュー 【トップインタビュー】移住・定住促進へ住まい供給=染野隆嗣・長野県小川村長 2021/12/15 08:30

染野隆嗣・長野県小川村長

 信州の郷土食「おやき」と美しい農村風景が自慢の長野県小川村。人口減が進む中、2018年に就任した染野隆嗣村長(そめの・たかつぐ=66)は「田舎や中山間地域の生活をしてみたいという流れはある。(定住・移住促進に向けた)住宅政策が必要」と語る。

 国勢調査(確定値)によると、20年の人口は2215人。5年間の減少率は16.9%と、県内市町村で2番目に大きい。

 過疎化は、1955年に2村合併で現在の小川村が誕生したときには「既に進んでいた」。急傾斜地が多く、農業だけで生計を立てるのは難しい。65年間で人口は4分の1に。「過疎は進むと思っていたが、こんなに進むなんて想定外だった」

 力を入れるのは住宅供給だ。隣の長野市や大町市、観光地の白馬村まで車で約30分。地価は安く、雪は降るが、豪雪地帯ではない。「程よい田舎」をアピールし、若者の定住を目的とした村営住宅を整備してきた。現在約50戸あるが、空き家はない状態。「今後も建設していく。来年度に向け準備も進めている」

 空き家バンク制度への登録も呼び掛けている。村には200軒の空き家があるが、バンク登録は限られ、現在提供できる空き家は2軒しかない。先祖伝来の土地・家屋を手放すのに抵抗がある人は多いが、「朽ちていくよりは若い方に有効に使っていただく方が(ご先祖様も)喜ぶのでは」と話す。

 景観は、村の魅力の一つだ。09年にNPO法人「日本で最も美しい村」連合に加盟。「にほんの里100選」にも選ばれた。雄大な北アルプス連峰をバックにした里山風景に感動して移住を決める人もいる。「美しい村」を守ろうと、村民が協力して荒廃農地を耕作したり、道路にツツジを植栽したりする機運もある。

 人口減で企業誘致が難しくなる中、起業支援にも取り組んでいる。

 約40年前、過疎化に危機感を抱いた村の有志がコメの代用食にすぎなかった「おやき」を商品化。観光客を呼ぶ特産品に育てた。村は、「第2のおやき」となるようなコミュニティ・スモール・ビジネスを生み出そうと「おやき研究所」を設立。20~30代女性の起業や移住・定住を支援している。

 4年前に移り住んだ青森県・秋田県出身の夫婦に最近、子供が生まれた。永住の地に決めたと聞き、「こんなうれしいことはない」と伝えたという。「つらい冬があるからこそ、春の喜びがある」。その一言に力を込めた。

 〔横顔〕趣味は囲碁。インターネット経由で海外の人とも対戦する。座右の銘は論語「義を見てせざるは勇なきなり」。妻と2人暮らし。長野市内に息子と娘が住む。

 〔村の自慢〕手入れされた四季折々の農村風景と北アルプスの景観。春には山桜が咲き誇る。

(了)

(2021年12月15日iJAMP配信)

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