2022/令和4年
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インタビュー 【トップインタビュー】核のごみ、全国的な議論に=片岡春雄・北海道寿都町長 2021/12/16 08:30

片岡春雄・北海道寿都町長

 札幌市から西へ150キロ、日本海に面する人口約2800人の港町である北海道寿都町。昨年10月、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地選定の第1段階に当たる文献調査へ応募したことで、町の名は全国に知れ渡った。応募を決めた片岡春雄町長(かたおか・はるお=72)は「国は頭を下げて調査の申し入れを行うなど、全国的な議論にするべきだ」と力を込める。

 昨年11月から約2年にわたる文献調査が始まったが、町内には反対の声も根強い。今年10月の町長選では調査撤回を掲げる新人が立候補。自身が初当選した2001年以来の選挙戦を制したが、対抗馬の得票数は片岡氏の約8割に上った。「核のごみは厳しい問題だった」と漏らす。

 それでも、核のごみの問題は「先送りにできない」。処分地選定の全3段階の調査は20年を要する。処分場の建設、操業、閉鎖を含めると100年以上の長期にわたることから、将来を担う子どもたち向けの説明会も今年度中に行うつもりだ。来秋ごろの文献調査終了後、第2段階の調査への移行の是非を問う住民投票を予定する中、「冷静に議論できるよう、みんなで勉強していきたい」と語る。

 これまで注力してきたふるさと納税はイクラ、タラコ、ウニなど海産物の返礼品が好評。20年度の寄付額は14億6100万円に上り、過去最高を更新した。今年度も同程度が見込まれるが、返礼品の生産、町職員の事務対応などには限界があり、「これ以上、欲はかかない」と話す。

 今後は交流人口の増加を目指し、磯場の開放や神社仏閣の公園化をはじめ体験型観光を推進する。「大きなホテルなどがない分、観光客には地元の商店や飲食店を利用してもらえる」。地域経済の活性化につなげたい考えだ。

 喫緊の課題は雇用の場づくりだ。かつてニシン漁で栄えた町の人口は片岡氏在任中の20年間で約1200人減少し、高齢化率も4割を超える。若者の町外流出を防ぐため、町営の風車で発電する電気を活用した陸上でのサーモン養殖や野菜栽培を検討中。専門家から流通や安定供給に関する意見をもらいながら、「ゼロからのスタートだ」。片岡氏の挑戦は続く。

 〔横顔〕北海道旭川市出身。東京の民間企業勤務を経て、1975年、寿都町役場入り。今では「寿都なまりも出る」。

 〔町の自慢〕「心が温かい町民が多い」。町が新たな特産化を目指すバジルを使った焼酎「壽(ことほぎ)」は女性の人気が高い。

(了)

(2021年12月16日iJAMP配信)

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