2022/令和4年
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インタビュー 【トップインタビュー】「わくわくする街をつくりたい」=草地博昭・静岡県磐田市長 2021/12/17 08:30

草地博昭・静岡県磐田市長

 7世紀に遠江国ができた際に国府が置かれた静岡県磐田市(16万8384人)。江戸時代は東海道の見付宿を中心に栄え、近年は地場産業の繊維業のほか、ヤマハ発動機やスズキなどの輸送機器や楽器、金属などの製造業が集積する工業都市として発展してきたが、今は人口の微減が続く。4月の市長選で無投票で初当選した草地博昭市長(くさち・ひろあき=40)は「大学を卒業した市出身の若者に戻ってきてもらうには、雇用の場を確保するとともに、市が刺激的でわくわくするような街でなければならない」と、反転攻勢に意欲を示す。

 市内に大学が少ないため、進学を機に18歳の若者が転出することは「仕方がないこと」と冷静に受け止める。ただ、「その前の中高生ぐらいの年代に、磐田市には魅力ある大人と仕事と暮らしがあふれていることを伝えておくことはすごく大事」と強調。若者らの関心を引く魅力的な人材を育てる施策を模索中で、「面白い大人がいれば、その人に引き付けられて戻ってくることも考えられる。若者が地域の人とつながれる場をもっとつくっていきたい」と基本構想を語る。

 工場の海外移転や人手不足などの影響で停滞する製造業の復活も急務。それも鍵を握るのは人材育成だ。「産業育成は人材育成と同じ。イメージするのは、(幕末の)薩摩藩の集成館。薩摩藩は、集成館で西洋の技術を学び、自分たちで大砲やガラスなどを作った。今の技術というのは情報。いろんな情報を学ぶ場をつくって、イノベーションにつなげたい」と話す。

 こども憲章を制定するなど、子育て支援策に力を入れてきた市には、「子育てナンバーワン」の自負がある。さらなる充実に向け、目指すのは子育て世代の「バリアフリー」化だ。「お母さんが髪を切りに行きたいときに子どもを預かる。上の子が熱を出したときに、下の子を預かる。そういう一時預かりの仕組みをつくるのは地味だけど、すごく大切。そんなことがしっかりできる街にしていきたい」と語る。

 静岡県は言わずと知れたサッカーどころ。自らも今季のJ2で優勝し、J1昇格が決まったジュビロ磐田の熱狂的なファン。「率直にうれしいの一言。市長である前にサポーターですから」と満面の笑みを浮かべる。

 市は、ジャパンラグビーリーグワンに所属する静岡ブルーレヴズの本拠地でもあるほか、東京五輪卓球混合ダブルスで金メダルを獲得した水谷隼、伊藤美誠両選手の故郷でもある。民間調査の「スポーツのまち」ランキングでは全国1位にも輝いた。「せっかく注目されているので、市のブランド戦略としてのスポーツを考えていきたい」と語る一方、「市内には河合楽器の工場があり、日本のピアノの50%を作っている。楽器、文化のまちという切り口も外せない」と悩ましい事情を話す。それでも「学校の部活動を支える人材や組織づくりをクラブチームや地域と連携していくというのはありかも」と思いを巡らせる。

〔横顔〕国立豊田高専卒。JR東海勤務や市体育協会専務理事、磐田市議2期を経て21年4月に市長に初当選。家族は妻と2男、母親。家庭での教育方針は「好奇心を伸ばす」。

〔市の自慢〕サッカーやピアノづくりのまちとして有名なほかに、「(ヤマハ発動機の)バイクもある。一つに絞ることなんてできない。選択と集中ができない街です」と笑う。

(了)

(2021年12月17日iJAMP配信)

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