2022/令和4年
105日 (

インタビュー 【トップインタビュー】単独事業見直しで老人医療費3割減=長野県原村・五味武雄村長 2021/12/24 08:30

長野県原村・五味武雄村長

 八ケ岳山麓の長野県原村は、高齢者の医療費を無料にする村単独事業を見直し、老人医療費を3割減らした。2期目の五味武雄村長(ごみ・たけお=70)は「『給付金制度自体は残したい』と訴えて、理解を求めた」と振り返る。

 1971年度に医療費自己負担を全額肩代わりする特別給付金制度を導入。75歳以上で始め、81年度に65歳以上に対象を拡大した。

 高齢化で費用は増大し、財政調整基金を取り崩す事態に。2016年度の特別給付金は1億1100万円を超えた。予算が約40億円の村では重い負担となり、「新規事業は何もできなかった」。

 15年に就任した五味村長は2段階で改革に着手した。まず対象年齢を65歳以上から24年に70歳以上に引き上げることを決定。16年4月から2年おきに1歳ずつ上げ、現在は68歳以上が対象だ。さらに20年4月からは、国の制度で自己負担1割の75歳以上だけを無料とし、その他の対象者は自己負担の一部補助にとどめた。

 半世紀もの間「『医療費はタダ』が当たり前」だっただけに、高齢者の反発は強く、「条例改正に持って行くのは大変だった」。住民懇談会に加え、アンケートを実施。移住者らの賛同が追い風になったという。

 改革により、21年度の特別給付金は7500万円程度と、ピーク時から3割減る見通し。「子育て支援センター」建設など新規事業を計画する余裕も生まれた。

 一度始まった事業をやめられないのは自治体共通の課題だ。「ソフト事業に期限を入れなかったのがいけなかった。私は5年くらいで見直すよう職員に指示している。一歩立ち止まって考え直すことが必要」と指摘する。

 原村はペンションや別荘が多く、移住先として人気だ。国勢調査によると、20年の人口は7680人。5年間で1.5%増えた。中央道諏訪南インターから中心部まで6~7分。八ケ岳の眺めも素晴らしく、「日本で最も美しい村連合」にも名を連ねる。

 20年度まで移住者の住宅建設に補助金を出す制度があり、累計で600人以上が移住した。21年度からは50歳未満を対象に、空き家の購入費用の半額(上限100万円)やリフォーム費用の半額(同50万円)を補助している。5年間の時限措置。既に3軒の実績があり、「大いに期待」している。

 〔横顔〕趣味は読書と歴史・民俗資料館めぐり。禅語の「※(※=口ヘンに卒)啄同時」(そったくどうじ=ひながかえるときに内からたたき、親鳥が外からつついて殻を割る)を信条とし、村民と協調した行政を心掛ける。妻と2人暮らし。米ダラスに住む三女の孫との再会を心待ちにする。

 〔村の自慢〕高原野菜や花が特産で、夏のセロリ生産は日本一。ワイン用ぶどう生産も始まり、20年に「ワイン特区」に認定された。

(了)

(2021年12月24日iJAMP配信)

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