2022/令和4年
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インタビュー 【トップインタビュー】脱炭素化は待ったなし=今井力夫・鹿児島県知名町長 2021/12/28 08:30

今井力夫・鹿児島県知名町長

 鹿児島県本土から南南西約500キロにある沖永良部島の知名町。町は2020年9月、県内初の「気候非常事態宣言」を行い、資源ごみの再利用促進や再生可能エネルギーの自給率向上を打ち出した。21年12月に再選を果たした今井力夫町長(いまい・りきお=64)は、「脱炭素化は待ったなしの課題。地域単位で電気をつくり、エネルギーを地産地消できるまちづくりを急ぐ」と抱負を語った。

 面積約94平方キロの島を西と東に分ける知名町と和泊町、京セラの3者は21年9月、包括連携協定を締結。太陽光・風力発電と蓄電池、電力需給のバランスを最適化する統合制御システムなどを組み合わせ、地域ごとに最適なマイクログリッド(小規模電力系統)の実現を目指す。22年度からは一部地域でグリッドの構築が始まる予定だ。今井氏は「将来的には地元企業と連携して発電設備の維持・管理や電力販売を手掛ける地域会社を町に設立し、雇用創出につなげたい」と意欲を示す。

 運営する地域電力会社が低コストで島民に電力を供給できれば、「島外へ流出している重油コストは大きく軽減され、受け取る電気料金を原資に新たな電力インフラを整備する島内経済の好循環を描ける」(今井氏)というわけだ。町では新たな小型風力発電の実証実験に着手しており、老朽化を踏まえ23年度完成を目指す新庁舎の電力を太陽光で賄うための実証準備も進めている。

 気候非常事態宣言を受け、町を挙げて、ごみの排出抑制や発生回避、再利用、再資源化の英語の頭文字を取った「4R運動」を強化。今井氏は「とりわけ海洋汚染の原因となるプラスチックについては4Rを徹底している」と強調した上で、温暖化に起因するサンゴの白化や海面上昇に伴う高潮といった「直接的な被害が顕著になっている」と憂慮した。

 今井氏は町の基幹である農業の振興にも目配りする。主力のサトウキビやジャガイモ、花卉(かき)、熱帯フルーツ以外に、「ハウス栽培の整備費を補助し、農閑期の夏場に収穫できる枝豆などの品目普及を後押ししたい」といい、現庁舎跡地には農産物を使った新たな6次化商品加工や料理体験も可能な拠点施設を開く考えだ。持続可能なまちづくりへ挑戦は続く。

 〔横顔〕中学4校の校長を務め定年退職した直後の17年に初当選。中学時代からの剣道は4段の腕前。幅広く意見を吸い上げる「町民会議」メンバーに中・高校生を新たに加える。長女は独立し、妻(59)と暮らす。

 〔町の自慢〕隆起サンゴ礁でできた大鍾乳洞群。「日本鍾乳洞九選」の昇竜洞に加え、ヘルメットやヘッドライトを装着して洞窟内を進む「ケイビング」愛好家の間では、総延長国内2位の大山水鏡洞、鍾乳石のブルーの水面(みなも)が圧巻の銀水洞が人気だ。

(了)

(2021年12月28日iJAMP配信)

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