2022/令和4年
108日 (

インタビュー 【トップインタビュー】ポストコロナを県の利益に=仁坂吉伸・和歌山県知事 2022/01/05 08:30

仁坂吉伸・和歌山県知事

 2021年は「新型コロナウイルスの制約に苦しめられた年だった」と振り返る和歌山県の仁坂吉伸知事(にさか・よしのぶ=71)。コロナやデジタルトランスフォーメーション(DX)に対応しつつ、カジノを含む統合型リゾート(IR)誘致など新産業の育成により「(ポストコロナ時代の)新しい世界を和歌山の利益になるようなものにしていく」決意だ。

 コロナ対策では、積極的疫学調査や感染者の全員入院を堅持してきた。「うまくいった点は、集めたデータに基づいて科学的・論理的に対策を進めたこと」と分析する。経済政策については「まずやるべきことは、困っている事業者が存続できるように助成していくこと」と話す。

 串本町では、日本初の民間ロケット発射場「スペースポート紀伊」からの1号機打ち上げが22年末に予定されており、県は打ち上げ当日の交通渋滞対策を担う。発射場を運営する会社は、20年代半ばに年間20機を打ち上げる計画で、「観光需要が大いに喚起されるのでは」と期待する。また、宇宙産業の集積に向け「関連企業に働き掛ける」と意欲を見せる。

 県が誘致を目指すIRでは、21年11月に県議会特別委員会が資金調達方法や事業主体が不明確だとして、住民説明会とパブリックコメントの延期を要求。12月には、市民団体が和歌山市にIR誘致の賛否を問う住民投票を求める約2万人の署名を提出した。しかし、「誘致で県民所得が約3000億円跳ね上がる計算だ。誘致しなかったら、県の衰退傾向に拍車が掛かる」と意義を強調。「日本の観光需要を喚起し、犯罪・依存症を防げるような良い計画をつくる」と意気込む。

 行政のデジタル化については、「市町村が別々に取り組んだら、互換性のないシステムがたくさんできて不便」と指摘。県の役割について「市町村の意見を調整して、共通のシステムを導入すること。その方が安い」と話す。こうした行政のデジタル化に向け、22年度に「DX本部」を立ち上げる予定だ。

 企業誘致や移住については、「テレワークの普及で東京一極集中は崩れつつある」とみて、「和歌山の良いところをPRしていく」。企業や個人を県に呼び込むためには「インフラ、住宅、受験校、医療、遊ぶ場所、自然など、地域が持つ条件を提示できることが決め手だ」と話す。

 〔横顔〕通商産業省(現経済産業省)出身。昆虫好きで、ブルネイ大使時代に現地で採集したチョウの標本写真をまとめた図鑑を出版している。

 〔県の自慢〕自然、文化、歴史、人間。20年、世界的旅行ガイドブック「ロンリープラネット」が紹介する「世界の訪れるべき観光地トップ500」に熊野古道と高野山がランクイン。

(了)

(2022年1月5日iJAMP配信)

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