2022/令和4年
105日 (

インタビュー 【トップインタビュー】まちづくりに市民の力=林郁夫・愛知県知立市長 2022/01/05 08:30

林郁夫・愛知県知立市長

 2005年にまちづくり基本条例を制定した愛知県知立市。林郁夫市長(はやし・いくお=61)は、「市民が、市民の手で、市民の責任で主体的にまちづくりに取り組むことが大切」との理念は浸透しているとして、「自助力、共助力が高い」と語る。

 「行政に求めるだけでなく、自分たちでつくっていこう」。そんな思いを共有し、市民一人ひとりがそれぞれの立場で活躍する。クリスマスの時期のイルミネーションは市民の手で行い、防犯や防災も市民主体で実施。市のマスコットキャラクター「ちりゅっぴ」は、17年の「ゆるキャラグランプリ」で準優勝した。「人口7万人規模で準優勝なんて、市民の熱意しかない」と強調する。

 外国人市民との協働も欠かせない。市内には外国人人口が約40%を占める地区があり、地区の未来について考える会議を16年以降開催。国籍ごとのコミュニティーにキーパーソンを見つけて自主的な問題解決を促し、円滑なコミュニケーションが生まれた。外国籍の児童生徒が多い学校では、子どもたちは自然と多文化に触れることができている。「多文化共生の未来都市知立」を掲げ、21年5月には「SDGs未来都市」に選ばれた。「全国的に見ても、外国人住民が多い学校は少ない。声を大きくしていかないといけない」と訴える。

 高齢福祉の面でも市民力の強さが見える。市は00年度に生涯学習都市を宣言。スポーツやボランティアなどをしやすい環境を整え、健康づくり、仲間づくり、生きがいづくりに取り組む。長生きしてチャレンジしたくなる環境をつくり、「いつの間にか100歳になっているまち」を目指す。

 市民力の強さの要因として、市の面積が狭く人口が7万人台と規模が適正なことを挙げる。市内の31町内会と市長は顔が見える関係。「大都市に比べ町内会との距離が近い。一緒にやりましょうと伝えやすいことはメリットだ」と話す。

 「思いやりのあるまちをつくるには、人権を大事にすることが必要」と、市独自の人権宣言に向けた準備も進める。外国人住民が多いという特徴に加え、情報通信技術(ICT)化の推進によって個人情報保護の必要性が増している。「自分を助けるという意味でも、思いやりのある社会、人権を大切にする社会は大事だ」と力を込めた。

 〔横顔〕市職員、市議を経て市長に。歩くことと本を読むこと、音楽を聴くことが好き。

 〔市の自慢〕ユネスコ無形文化遺産に登録された「知立の山車文楽とからくり」、1000年の歴史がある市の花「カキツバタ」、東海道の三大神社の一つと言われる「知立神社」。

(了)

(2022年1月5日iJAMP配信)

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