2022/令和4年
105日 (

インタビュー 【トップインタビュー】若者・民間の声を取り入れる=渡辺英朗・福井県若狭町長 2022/01/12 08:30

渡辺英朗・福井県若狭町長

 2021年5月に、県内首長としては最年少で当選した渡辺英朗町長(わたなべ・ひであき=41)。就任してすぐに政策推進課内に「SDGs推進室」を設置するなどSDGsを町づくりの理念に据え、地元の高校生や民間企業の知見を町政に取り入れている。

 奨学金返還支援事業が好例だ。町内にある県立美方高校は以前からSDGsを取り入れた総合学習を行っている。20年度に、若者の都市部流出対策として奨学金の返還を支援する制度があればいいという発表があった。渡辺町長は、就任直後の6月補正予算で制度を導入。21年12月末時点で6人から申請があるという。「首長がトップダウンで、あれやれこれやれというのもいいんですが、地域の声や若者の声を実現していくのが行政の役割」と振り返る。

 今後の町づくりの方向性について「若い世代が求めているのは、若狭町にはない企業やブランド」と分析する。

 これまでは製造業の工場誘致が主だった。「働き口や収入の安定では必要」とした上で「町の雰囲気をつくっていくには子育てや子どもの視点のある企業」が重要だと指摘する。22年は町内に有名デザイナーの桂由美さんのウエディングドレスミュージアムがオープンする予定だ。「ぽつんと浮いてしまうのではなく、若い人たちが結婚や子育てを考えて定住につながる施設にしていかなければならない」と意欲を見せる。

 外部からの風も積極的に取り入れる。総務省の「地域活性化起業人」制度を活用し、日本航空(JAL)から出向職員を1人受け入れた。観光、政策分野に配属されており「営業に長けた方なので、ネットワークをつくったり、会議の流れに民間らしさを出したりしてくれる」と評価。JAL側には地方への貢献、自治体側には営業の視点が養われ、職員の意識改革につながるとの期待がある。町は今後も民間企業との交流を進める方針だ。

 町長就任後に導入した「My SDGs」では、部署ごとに業務目標に応じたSDGsを設定するだけでなく、職員一人一人が自分の目標を決めて名札に添付する。例えば「毎日1万歩歩く」であればSDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」に該当する。始めるに当たり、JAL職員の発表も参考にしたという。SDGsの推進のため、町が先頭に立って啓発する狙いがある。

 町は22年度から5年の構想を第2次基本計画にまとめている。「歴史や文化、自然を大切にしてきている町。それを新しい時代の視点、SDGsの視点で世界に発信し、世界に誇る町に」するのが若き町長の抱負だ。

 〔横顔〕国学院大卒。地元闇見神社の禰宜(ねぎ)。町議を経て21年5月から現職。趣味は料理とサイクリング。座右の銘は「至誠天に通ず」。

 〔町の自慢〕観光名所に三方五湖やレインボーライン、熊川宿。特産品は日本海側最大の生産量を誇る「福井梅」。

(了)

(2022年1月12日iJAMP配信)

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