2022/令和4年
108日 (

インタビュー 【トップインタビュー】リニア工事「理解と納得は違う」=川勝平太・静岡県知事 2022/01/12 08:30

川勝平太・静岡県知事

 リニア中央新幹線静岡工区の着工について、水資源に悪影響が出ると反対する川勝平太静岡県知事(かわかつ・へいた=73)は「地元の理解や協力がなければ工事をしてはならない」と強調する。「JR東海の説明内容を理解しても、受け入れたということではない。理解と納得は違う」と同社側をけん制する。

 また、工事で「山に穴を開けるわけだから、当然水が漏れていく。そうすると(大井川の)水位が下がる」と指摘。「生態系にも影響を与える。これを戻せるのか」と疑問を投げ掛ける。南アルプスのトンネル掘削で生じる盛り土についても「有害物質の対策が必要になる。もし崩れたらどうするか不安がある」と懸念する。

 その上で、JR東海が大井川流域市町の首長への説明会を開催したことなどを踏まえ「説明したことをもって理解とみなして工事をする(ことにより)、すり替えが起こりかねないと感じている」と危機感をあらわに。21年末に国土交通省の有識者会議がまとめた中間報告を受け、今後は県専門部会で議論を進める方針だ。

 21年7月に起きた熱海市の土石流災害では「多くの方が家を失い、仕事を失っている。寄り添っていかなくてはいけない」と述べ、「二度とこういうことを起こしてはならない」と力を込める。7月1日から施行する予定の新たな盛り土の規制条例では、地方自治法で許される最大限の罰則規定を盛り込み「最も厳格な条例をつくる」との考えを改めて示した。

 災害発生の原因については「雨が降り続いたことによる自然的な面と、盛り土という人為的になされたものの両方がある」と指摘。県では現在、盛り土造成の行政手続きが適切だったか検証作業を進めており、「分かったことは、すべからく公表する」。

 新型コロナウイルス感染症対策では、「感染経路が分からなくなれば感染をますます広げる。検査を徹底的にすることが大事だ」とし、国の研究所などと連携を強化する考えだ。また、「出口はワクチンだ」と話し、「ワクチンの国産化を進めるべきだと一貫して訴えたが、ようやく国も乗り出した」と今後に期待を寄せる。

 県政運営では、うまくいったときに淡々としている「得意淡然」、失敗したときに気落ちしない「失意泰然」、危機に決断する「危機決然」などを心がけている。知事職については「常時公人だ」とし、「常に道場にいるつもりで、修練の場としてみるべきだ」と覚悟を見せる。

 〔横顔〕早大教授、静岡文化芸術大学長を経て09年7月静岡県知事に初当選し、4期目。早朝に散歩してから勉強をすることが日課で、「一番元気なのは学問をしているときだ」。

 〔県の自慢〕ウナギ、日本酒、メロン、次郎柿など。「食材の王国としての強みだ。何にせよおいしくいただける」と太鼓判を押す。

(了)

(2022年1月12日iJAMP配信)

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