2022/令和4年
108日 (

インタビュー 【トップインタビュー】震災の経験や思い継承し、貢献都市に=久元喜造・神戸市長 2022/01/17 08:30

久元喜造・神戸市長

 阪神大震災の発生から17日で27年を迎えた神戸市。久元喜造市長(ひさもと・きぞう=67)は、「海と山が育むグローバル貢献都市の実現」を現在の施政方針に掲げる。「震災の時、国内外からの支援を受けてまちを復興させてきた。試練に見舞われてきた中で、市民が育んできた経験や思いを大切にし、特に大きな災害で被害を受けた地域に対して支援、貢献をしていく」と、「貢献都市」に込める思いを語る。

 これまでも地震や豪雨などで被災した自治体に職員を派遣してきた。派遣先での経験の積み重ねは職員の育成にもつながっているという。神戸市でも、震災時に入庁していなかった職員が65%を占める。「震災時の経験や、市民のために必死に取り組んだ先輩職員の思いを、後に続く職員が引き継ぐという取り組みをしっかりと続けていきたい」と話す。

 「震災以来の危機」と位置付ける新型コロナウイルスとの戦い。震災後に誕生した神戸医療産業都市では、理化学研究所のスーパーコンピューター「富岳」によるコロナ飛沫(ひまつ)シミュレーションや、国産としては初の手術支援ロボットシステム「hinotori」といった技術が開発され、「コロナ対策をはじめ、医療ヘルスケア領域で内外に貢献できる成果が発信されている」と指摘する。

 災害対策では、台風による大規模停電の発生などを想定した避難所の備えを強化する。学校や集会所などの施設を簡易改修し、電気自動車などから給電できるシステムの導入を拡大。「全避難所にできるだけ早く入れる」との考えを示す。

 震災後のまちづくりも転換期に入っている。震災で壊滅的な被害を受けた長田区の新長田駅南地区で進めてきた全国最大規模の再開発事業は、2023年にようやく完了する見通しが立った。市の有識者会議の検証結果によると、被災者の生活の早期再建や災害に強いまちづくりなどの事業目的はおおむね達成。ただ、居住人口は震災前の1.4倍に増えた一方で、就業人口は震災前を下回り、まちのにぎわい再生には課題が残る。

 「震災2カ月あまりで都市計画を決定したことには大きな批判もあったが、被災者への住宅の提供に非常に大きな効果を発揮し、仮設住宅を4年11カ月で解消できた」。地域活性化に向けて、兵庫県と合同で新庁舎を整備したほか、市立3病院の一つ、西市民病院を再開発地区の公園に移転する方針も決定。「遠くない将来、就業人口も来街者も震災前を大きく上回ることになるのでは」との展望を示した。

 中心市街地の三宮やウオーターフロントでも、大型の再開発事業が次々と動きだす。市の財政は震災後、復興事業で発行した市債償還に苦しんできた。ようやく新たな投資ができる段階を迎え、「コロナ後の時代は、持続可能性と自然との共生ということが重要になる。神戸の街のたたずまいや歴史、そして人間が自然の中で生かされているということを大切に取り組んでいく」と前を見据える。

 〔横顔〕豊かな自然環境を生かし、六甲山上にオフィスなどを誘致する「スマートシティ構想」や、農村活性化、里山再生に取り組む。コロナ後の社会を見据えた地域づくり、ライフスタイル提案にもつながるという。

 〔市の自慢〕大都市の魅力がある一方、海と山、豊かな自然があふれる。まちの魅力は、震災を助け合いながら乗り越えてきた「人」の魅力と結び付いているという。

(了)

(2022年1月17日iJAMP配信)

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