2022/令和4年
105日 (

インタビュー 【トップインタビュー】「人に投資するまち」実現を=新田敏郎・鹿児島県錦江町長 2022/01/28 08:30

新田敏郎・鹿児島県錦江町長

 雄大な錦江湾(鹿児島湾)と肝属山地に囲まれた鹿児島県錦江町。昨年12月に初当選した新田敏郎町長(しんでん・としろう=56)は「町民同士が信頼でつながり、幸せを共有できるまちをつくる。人材育成に力を注いで4年後に成果指標(KPI)を100%達成する覚悟だ」と意気込む。

 関連法に基づく「特定地域づくり事業協同組合」の設立を急ぐ一方、研修機能を併せ持つ官民共同出資の「雇用支援組織」の整備を目指す。「若者やUIJターン者の受け皿を確保し、世代別キャリア教育を充実させながら、子育て世代らの定着を図りたい」。

 2005年の旧田代・大根占両町合併から人口は3000人超減って7000人を割り込み、直近の高齢化率は45.8%に上る。脆弱(ぜいじゃく)な公共交通機関を補うため、乗り合いタクシーの早期導入とともに、移住人材らの働き口を年間通じて確保する事業協同組合で担い手不足に対応する。

 基幹産業の農業立て直しは「土壌学や薬学の知識、栽培技術の指導を強化する。育成型と『のれん分け』を両にらみに、挑戦したい人を少なくとも3年間は下支えする必要がある」と説明。雇用支援組織の設立では移住者と地場資源のマッチング組織で知られる岡山県西粟倉村なども参考に「OJTにとどまらず通常業務から離れても研修・教育が可能な『オフ』JTの機会も活用して、定住・定着を後押ししたい」。

 世代別キャリア教育では、小学校高学年を対象に憧れの職業に最前線で携わる社会人とのインターネット対話を実施。中学生には町が抱える課題の発見と解決策を役場の若手と探るプログラムを用意し、高校生・一般町民には「未来の錦江町想像・創造コンテスト」で活性化策の提案を募る。昨年は高校生から81件、町民から11件、小学生から6件が寄せられた。最優秀賞は町の事業に取り入れる。「町民にとってもリカレント(学び直し)の入り口となる。各世代が自分やまちを見つめ直す教育施策を拡充していく」と話す。

 「平均点を目指す教育は時代遅れ。トライアル・アンド・エラーで夢にチャレンジする子どもを本気で応援する」と訴える。今夏は小中学生向けに3Dプリンターを用いたワークキャンプを行う予定で、4年後のKPIとしてスマートフォン向けなどの「アプリ開発5件」を掲げた。

 雇用支援組織と連携し、40歳未満の起業や25歳までの国内外留学渡航費の支援策も打ち出した。KPIでは他に転入(20年度225人)と転出(同308人)の同数化、新規就農30人、多拠点居住者を含む「ふるさと住民」100人登録など計25項目を設け、挑戦する。

 〔横顔〕85年に旧大根占町役場入り。合併後の錦江町総務課長などを務め21年3月に退職。長女は独立し、妻と暮らす。茶畑や水田の手入れでリフレッシュしてきたが、町長就任後は「ちょっと厳しい」と笑う。

 〔町の自慢〕桜島と開聞岳を眺望できる絶景キャンプ場などアウトドア施設が充実。移住者や若い世代を受け入れる町民の寛容性が「一番の魅力」。

(了)

(2022年1月28日iJAMP配信)

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