2022/令和4年
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インタビュー 【トップインタビュー】「ふるさと愛」持ち続けて=安田正義・兵庫県加東市長 2022/02/01 08:30

安田正義・兵庫県加東市長

 兵庫県加東市では、全ての市立小中学校を三つの小中一貫校に再編する取り組みが進む。「9年間を通して子どもたちを育んでいこう」という教育関係者の思いを支え続けた安田正義市長(やすだ・まさよし=67)。一定の道筋を付け、4月29日の任期満了を前に、今期限りで退任する意向を表明した。「小中一貫教育の大きな流れは変わらない。ふるさとを愛する気持ちを持ち続け、地域を担ってくれる人材に育ってほしい」―。大きく踏みだした「教育のまち」にエールを送る。

 2010年4月の就任以降、兵庫教育大学が立地する優位性も生かし、教育や子育て環境の充実に力を注いだ。人口減少時代に対し、「人間はいろんな人と接する中で切磋琢磨(せっさたくま)して育っていくもの」と、小中一貫教育を推進。保護者や住民の声を聞きながら、丁寧に準備を進め、財源確保に奔走した。昨年4月に東条地域に開校した一貫校は、3学期から新しい学びやで授業がスタート。社、滝野の2地域でも計画が具現化している。

 市は高級酒米「山田錦」の一大産地でもある。しかし、コロナ禍で日本酒の消費が落ち込み、農家は苦境に立たされている。「日本一の山田錦を作っているという誇りはあるが、誇りだけではやっていけない」。基幹産業の農業を守るには、所得向上が不可欠と考える。そうした中、「農業を守るには働く場所をつくり、人に住み続けてもらう必要がある。兼業農家を守っていくことが大事」と、工業団地の拡張を目指した。「大動脈の中国道が通るなど地の利はあるが、私の代では成就しなかった…」と率直に語る。

 地元出身で旧社町役場に入り、06年の3町(社町、滝野町、東条町)合併前から地域を見てきた。「何のために合併したかを忘れてはいけない。旧3町のままでは、いずれは財政的に行き詰まってしまう。そうならないうちに早く手を打たねばということだった」。行財政改革を進める中で、公共施設の適正配置に苦心した日々を振り返る。

 「まちづくりはゴールのない駅伝や」という前任・山本廣一市長の言葉が忘れられない。「その通りだ。課題はいつの時代にもある。一つクリアすると、また新しい課題が出てくる。それを超えていかねばならない」。ふるさとへの尽きぬ思いを次代に託す。

 〔横顔〕趣味の詩吟やコーラスは「忙しくてできていない」。「市長になっても続けろ。そうじゃないと農家の気持ちが分からない」と周囲に言われ、自らも農地を耕している。

 〔市の自慢〕17年から栽培するもち麦「キラリモチ」。これを使った「もち麦パン」の開発・プロジェクトが始まった。「農家の皆さんも初めての作物に最初は不安があったが、市の特産になりつつある」

(了)

(2022年2月1日iJAMP配信)

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