2022/令和4年
105日 (

インタビュー 【トップインタビュー】「シリコンアイランド九州」復活を=蒲島郁夫・熊本県知事 2022/02/03 08:30

蒲島郁夫・熊本県知事

 半導体受託製造で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の新工場建設が決まった熊本県。蒲島郁夫知事(かばしま・いくお=75)は、2016年熊本地震と20年7月豪雨災害からの復興、新型コロナウイルスの「三重苦」に対応する中での工場建設は「熊本にとって明るいニュース」と笑みを見せる。県内経済の活性化だけでなく、「シリコンアイランド九州」の復活まで先を見据える。

 県は、新工場建設を円滑に進めるため、蒲島氏をトップとした「半導体産業集積強化推進本部」を設置。8000億円の設備投資額のうち半分の4000億円を国が支援すると言われている。大規模な投資について「県始まって以来の驚異的な出来事」と期待感を示す。

 24年末の半導体生産開始まで、課題の一つになるのが人材確保だ。TSMCは約1500人の雇用を予定しており、県は、これに合わせ県内の大学や短大、高専と連携。半導体教育に取り組み、人材育成に力を入れる。一方で、県外に人材が流出している現状もある。UIJターンなどさまざまな形で人材を確保したい考えだ。

 経済効果について「県経済の活性化だけではなく、シリコンアイランド九州の復活。日本の経済安全保障の一翼を担いたい」と意気込みを語る。

 工場建設の課題に取り組む一方で、復興の歩みも進めている。三重苦のうち「一番重要」と強調するのが、熊本地震からの復興だ。

 21年3月には「復興のシンボル」とされる熊本城天守閣の復旧工事が終了し、同6月に一般公開が行われた。熊本城内部には、地震の被害や天守閣復旧を紹介するコーナーが設けられている。県は、県内各地に点在する震災遺構などを巡る回廊型の「熊本地震震災ミュージアム」の発展にも注力。旧東海大学阿蘇キャンパスで体験型の展示施設を整備し、23年度中のオープンを目指す。

 「被害の実情、ノウハウ、教訓など後世に伝承することが責務」と震災を経験した地域の役割を強調する。

 地震で被害を受けた住まいの再建は、22年1月までに99.8%まで進んでいるが、仮設住宅にはいまだ50世帯約135人が住んでいる。「誰一人取り残すことなく、みなさんに寄り添って支援したい」

 〔横顔〕地元農協職員から米国に留学し、ハーバード大大学院で政治経済学の博士号を取得。筑波大、東京大で教壇に立ち、08年4月から現職。主な著書に「戦後政治の軌跡―自民党システムの形成と変容」「私がくまモンの上司です」など。

 〔県の自慢〕阿蘇・天草の雄大な自然。くまモン関連商品売り上げは11~20年で9891億円で、1兆円を超える見通し。馬刺し、あか牛、辛子レンコン、世界最大級のかんきつ類晩白柚(ばんぺいゆ)などが特産。

(了)

(2022年2月3日iJAMP配信)

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