2022/令和4年
105日 (

インタビュー 【トップインタビュー】地域との協働でコロナにも対応=井上澄和・福岡県春日市長 2022/02/25 08:30

井上澄和・福岡県春日市長

 市制施行50周年を目前に控えた福岡県春日市。6期目の井上澄和市長(いのうえ・すみかず=70)は、行政と地域が協力する「協働のまちづくり」に取り組み、地域との関係構築に注力してきた。新型コロナウイルス禍で、この関係が成果をあげているという。

 関係構築の基盤になったのが、約20年にわたって700回以上続けてきた肝煎りの施策「出前トーク」。市長と市幹部が公民館を回り、市民と膝を突き合わせて地域について話し合うことで、「市民が行政に目を向けてくれる」きっかけになった。使途を限定しないまちづくり交付金を自治会に交付したことも、「地域を自分たちで良くしようという機運を芽生えさせた」と語る。

 成果の一例が、新型コロナ禍での地域と行政の連携だ。2020年の特別定額給付金の申請では、地域の高齢者を支援する民生委員や自治会員、社会福祉協議会、地域包括支援センターと市が地域連携会議を設立。地域住民が高齢者の独居世帯などを洗い出し、市職員と共に一軒ずつ訪問したことで、給付申請の支援のほか、暮らしぶりや介護サービスの利用状況を一斉に把握できた。

 ワクチン接種も地域と協力した。自治会の名簿を基に、支援が必要な高齢者約1200人の家を地域住民と職員が訪問。接種の希望を聞き、予約や会場への送迎を行った。給付金もワクチン接種も「(11万3000人規模の自治体で)一軒一軒やれたのは見えない誇り」と力を込める。

 05年に始まった「コミュニティ・スクール」(学校運営評議会)は、市長いわく「協働のまちづくりの子ども版」。評議会には学校関係者と保護者のほか、地域住民の代表者も加わる。住民が児童の見守り活動や地域行事の運営を行うことで、子どもや保護者も地域の活動に積極的に参加するようになった。

 次の50年で取り組むべきこととして、「増える人口をどう受け入れるか」を挙げる。福岡市に隣接し通勤利便性が高いことから、ベッドタウンとして人気が高い春日市。20年の国勢調査では、九州の市町村で人口密度が最も高かった。人口増を受け入れるために、建物の高度規制を緩和することも視野に入れているという。

 住民同士の関係が希薄になりがちなベッドタウンで、また少子高齢化が進む時代だからこそ「地域住民間の絆がもっと重要になる」と話す。「行政にできることをやりながら、地域と助け合っていく」と、さらに協働のまちづくりを充実させていく構えだ。

 〔横顔〕毎朝、愛犬ハチの散歩とごみ拾いを欠かさない。「地域のことを肌感覚で知っておく」ために、規模の大小を問わず地域の行事にできるだけ顔を出す。

 〔市の自慢〕奴国の中心地であったとされる須玖岡本遺跡と、天然芝のグラウンドがある白水大池公園。

(了)

(2022年2月25日iJAMP配信)

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