2022/令和4年
105日 (

インタビュー 【トップインタビュー】2期目へ意欲、「まいた種、実を回収するまで」=長崎幸太郎・山梨県知事 2022/03/07 08:30

長崎幸太郎・山梨県知事

 残りの任期が1年を切った山梨県の長崎幸太郎知事(ながさき・こうたろう=53)。これまでの県政運営を、「まいた種は、芽が出だしているものもあるが、芽が出ているだけでは満足できない」と振り返った上で、2期目について「花が咲いて、実を回収するシステムができるところまで、しっかり見極めないといけない」と意欲を示す。

 力を入れてきた分野の一つが防災対策だ。2019年の台風被害をきっかけに、国や近接自治体、民間事業者などと、防災インフラの強靱(きょうじん)化に向けたプロジェクトチームを立ち上げたほか、流域治水や富士山噴火などへの備えも進めてきた。「本格的な対策を実行するための仕掛けがこの3年間でできた」と話す。

 新型コロナウイルス対策では、感染防止と経済活動の両立を推進するため、感染対策を講じる飲食店の第三者認証制度をいち早く導入。昨年4月に設置した「感染症対策センター」を通じて、知見の継承や情報収集、人材確保などに必要な体制も整備した。「感染症を克服し、超克した社会に持っていこうと、現在進行形の取り組みを進めている」という。

 一方、「感染症対策はまだ完結していない。投げ捨てるわけにはいかない」と強調。2期目について、「長くやれば良いとは全く思わないが、しっかりとした成果を挙げたい」と前向きな姿勢を見せる。残りの任期は、新型コロナ対策などに引き続き取り組むとともに、「県発展の基礎条件」と位置付ける教育と介護に関する展望の明示に力を入れる考えだ。

 リニア中央新幹線については、県が携わる水素燃料電池の研究拠点が「リニア山梨駅」の設置が予定される場所に近いことから、「駅周辺は超一等地になるはずだ」と指摘。「民間投資がいかにスムーズに行われるかを念頭に置きながら、地元と議論を重ねたい」と語る。2拠点居住が注目されるなど、地方分散の流れを生かし、ビジネスの拠点としたい考えだ。

 27年のリニア開業が遅れる見込みであることを踏まえ、品川―甲府間の先行開業を議論する必要性を主張。水素燃料電池の研究拠点とトヨタとの結び付きを考えると、名古屋までの開通の重要性は理解しているが、「動くところから動かすということも、おいおい議論に乗せていくべきだ。われわれも人的、金銭的投資をしている。投資を回収する意味でも(議論が)必要になる」と説く。

 県庁内については、「民間での専門分野の知見の蓄積を、公務に反映しようという道筋があってもいい」と、民間との人事交流の導入に言及。「刺激を受けて、力を発揮していくことで、官に対する信頼性を増すことができるのではないか」と話す。

 富士山の県側の麓と5合目を結ぶ「富士山登山鉄道構想」に関しては、「自然環境が守られながら、将来において愛され続ける富士山にしていくための一つの有力な手段」と指摘。「1期目の公約は登山鉄道構想の検討まで。最終的には登山鉄道の開業だ」と述べ、構想案の地元への説明を今後進め、合意を得た上で、開業に向けた工程表を作成する意向を示した。

 〔横顔〕東大法卒。財務省の官僚を経て、05年に衆院議員に初当選。3期務めた後、19年2月から現職。新型コロナウイルス対応では「やまなしグリーン・ゾーン認証制度」を創設し、第三者認証制度として全国に広がった。

 〔県の自慢〕世界文化遺産の富士山をはじめ、観光資源が豊富。ミネラルウオーターの生産量は日本一。ブドウやモモなど果物の生産も盛んで、ワイナリーも多数ある。日本酒の醸造所もあり、全国で初めて複数の酒類で「地理的表示(GI)」指定を受けた。

(了)

(2022年3月7日iJAMP配信)

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