2022/令和4年
105日 (

インタビュー 【トップインタビュー】価値観認め合う村に=熊谷英俊・長野県大鹿村長 2022/03/09 08:30

熊谷英俊・長野県大鹿村長

 南アルプスの雄大な自然に囲まれた長野県大鹿村。村議から転じて1期目の熊谷英俊村長(くまがい・ひでとし=57)は「多様な価値観を認め合う村づくり」を掲げ、移住・定住の促進を目指す。

 多数の犠牲者を出した1961(昭和36)年の豪雨災害「三六災害」や高度経済成長などに伴い、村の人口は年々減少。現在は1000人を割り、50年当時の2割弱だ。今後も人口減は避けられないが、村は2040年に750人程度を保つ計画を立て、若い夫婦や子育て世帯の移住促進を最優先課題に位置付ける。

 村の良さは「包容力、許容力、寛容さ」という。「1000人弱の人口のうち400人以上がIターン」で、移住者を受け入れてきた歴史がある。古くから谷沿いの街道を通じて往来があり、南北朝時代には後醍醐天皇の皇子・宗良親王が隠れ住んだと伝わる。

 移住・定住促進に向けて期待するのは、IターンまたはUターンした村民のアイデアだ。「良いところ、悪いところが客観的に分かる方々から課題を導き出して政策立案できれば」と考え、昨年、Iターン者らを集めて「村づくり検討委員会」を立ち上げた。村が空き家を取得して起業などを志す若い人に開放してはどうかといった「村民目線での新鮮なアイデア」も出てきており、手応えを感じる。

 検討委員会には「村づくりに携われる人材の確保・育成」の狙いもある。村は中山間地域で、合併が難しい。自立していくには「一人ひとりがこの村を引っ張るという意識」を高め、村政に参加してもらうことが不可欠だ。

 一方で、新しい住民と以前からの住民との間で、考え方の「ギャップがある」。多様な価値観を認め合う村づくりが定着するまでに紆余(うよ)曲折があることは覚悟しており、丁寧に議論を続けていく。

 高齢化対策では、人工知能(AI)スピーカーを使った見守りを始めた。日本郵便が提供するサービスで、実証実験を経て今年から導入した。技術面などで課題があり、時間をかけて取り組む。

 村ではリニア中央新幹線の建設工事が進む。隣接する飯田市に新駅が完成すれば観光誘客効果が期待される。一方で工事期間中は、発生土を運び出すダンプカーが頻繁に村内を通る。「今は自分たちの生活が脅かされる不安感の方が(住民には)多い」として、負担軽減の訴えを続けていく方針だ。

 〔横顔〕好きな言葉は「人生楽しんだ者勝ち」「頑張らない」。趣味は釣りとペーパークラフト。母、妻、娘との4人暮らし。

 〔村の自慢〕300年の歴史がある「大鹿歌舞伎」。鳥倉山中腹の「夕立神パノラマ公園」では、中央アルプスと南アルプスの雄大な景色を一望できる。「日本で最も美しい村」連合に参加している。

(了)

(2022年3月9日iJAMP配信)

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