2022/令和4年
105日 (

インタビュー 【トップインタビュー】歩いて楽しい芸術文化の街並みを=前田祝成・鹿児島県枕崎市長 2022/03/16 08:30

前田祝成・鹿児島県枕崎市長

 薩摩半島南西端に位置し、全国有数のカツオの水揚げ量を誇る鹿児島県枕崎市。「地場産業の競争力強化」などを掲げて1月に再選を果たした前田祝成市長(まえだ・のりしげ=57)は「かつお節などの特産品の発信力に磨きを掛けたい。産業競争力とともに芸術文化、スポーツの力で関係人口を呼び込む」と語る。市に拠点を置く大手酒造メーカーで長く広報・市場調査畑を歩いた前田氏は、PR動画の作成を指揮。動画が県最高賞に輝いた勢いを駆って、立体アート散策が楽しめる街並み整備に意欲を示す。

 特産品PR動画「枕JAZZ(ジャズ)」は、かつお節や電照菊、刃物など工芸品の生産者・職人が奏でる音色に、トランペットやギター、ピアノを絡ませた心地よいリズムと色鮮やかさが特徴。「枕崎ブランド」のイメージ向上に資するとして県広報コンクール最高賞「特選」(映像部門)を獲得し、現在、全国レベルでも審査中。ブログや広報誌での発信力に定評のある前田氏は「新年度はSNS主体に露出を増やしていく」と述べ、広告代理店大手の博報堂OB、小泉智資副市長と新たな仕掛けづくりを急ぐ。

 前田氏が次に照準を定めるのは、東シナ海を一望できる木造美術館「南溟(なんめい)館」を拠点に、市役所、海岸線をつなぐ約5キロの間、立体アートを配置する「歩いて楽しむ街並み」の実現だ。南溟館は1989年から3年に1度、国内外の芸術家が彫像・絵画作品を出品する「風の芸術展」を主催。「青空美術館」として街中に既に配置した入賞作品など100体のオブジェを生かしつつ、新たに景勝地や観光スポットを結んで周遊できる街並みづくりを目指す。

 21年度はスポーツ・文化振興課を新設し、デジタルアート「動くゴッホ展」の誘致に西日本で初めて成功。県内主体に1万5000人を集客した。一連のユニークな催事で知られる南溟館のほか、市営野球場を硬式対応に改修し、大会・合宿誘致も視野に入れる。

 妊娠から子育てまで切れ目のない支援策などを講じ「日本一幸せな2万人のまち」を標ぼうしてきた前田氏にとって、「にぎわいや暮らしの質を高める上で関係人口は重要」。2期目は太陽光や木質バイオマスなどの再生可能エネルギーを主電源とする新電力会社を市内事業者などと設立する計画で、「太陽とカツオのまち」の付加価値を高める市長の挑戦が続く。

 〔横顔〕全国区の焼酎「白波」で知られる薩摩酒造で30年間、サラリーマン生活を送り、18年に初当選。1男1女は独立し、妻(57)と暮らす。学生時代から打ち込むサッカーでは、世代別40歳以上の県選抜チームのメンバーに選ばれ、九州大会準優勝に貢献した。

 〔市の自慢〕かつお節生産量は年間約1.2トンと日本一。300年以上の歴史を持つ加工工場が40軒以上点在し、早朝から香り高い薫煙(くんえん)を漂わせ、日本のだし文化を支える。

(了)

(2022年3月16日iJAMP配信)

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