2022/令和4年
105日 (

インタビュー 【トップインタビュー】「御嶽海」と共に前へ=大屋誠・長野県上松町長 2022/03/25 08:30

大屋誠・長野県上松町長

 木曽ヒノキの里、長野県上松町は、新大関御嶽海の出身地として知られる。2期目の大屋誠町長(おおや・まこと=66)は、新大関の活躍について「新型コロナウイルスで出口が見えない暗い中、前に進みたいという気持ちをもらっている」と話す。

 上松は「あげまつ」と読むが、かつては「うえまつ」と言われることもあった。力士の出身地が読み上げられてテレビ中継で流れる大相撲の宣伝効果は絶大で、今では誰も間違えない。

 御嶽海のファンは今や全国におり、出身地の町長として「どこでも親しみを感じてもらえる」。優勝するたびに商店街が率先してイベントを開き、祝ってきた。「私どもも頑張っていかないと。そういう力をもらっている」と話す。

 御嶽海は、江戸時代の「雷電」以来、227年ぶりとなる信州出身の大関。雷電出身地の東御市や「田んぼアート」に御嶽海を描いた安曇野市などとのイベントも検討中だ。

 他の山間地にある自治体と同じく、町は人口減が進む。「『過疎イコール悪いこと』と捉えられがちだが、今は「適疎」という言い方もある」と語る。密集せず適度に散らばって人が住み、「自然と調和して人間らしい暮らしができるまちづくり」を目指す。

 出生数の減少を補う人口をどう外から呼び寄せるか。一つの取り組みが「木工の東大」と呼ばれる上松技術専門校の活用だ。全国から木工を職業にしたいと志す若者が40人ほど集まるが、町内に就職先がなく、1年の訓練期間が終わると出ていってしまう。

 このため卒業生を地域おこし協力隊に採用して「木工部」を設立。ふるさと納税の返礼品として作った木工製品がヒットし、年間100万円程度だった納税額が大きく増えた。木工起業の場を提供し、若者の移住・定住につなげていくことを目指す。

 このほか、若者の雇用の場として、養豚場の誘致を計画する。人家から1.2キロ離れた牛の放牧場だった場所に建設するため、臭いの問題もクリアできるとみる。将来的には30人ほどの雇用が生まれ、地元ブランドとして売り込むことも考える。

 〔横顔〕趣味は渓流釣り。妻、次男と3人暮らし。座右の銘は上杉鷹山の「なせばなる。なさねばならぬ何事も。ならぬは人のなさぬなりけり」。

 〔町の自慢〕森林浴発祥の地「赤沢自然休養林」。木曽ヒノキが広がり、免疫力がアップするという。テントサウナの併設を検討中で、健康をテーマにした体験型観光地を目指す。木曽観光の中心「寝覚めの床」は、木曽川に岩がそびえ立つ奇勝で、浦島太郎がここで玉手箱を開けたという伝説が残る。

(了)

(2022年3月25日iJAMP配信)

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