2022/令和4年
105日 (

インタビュー 【トップインタビュー】若者が喜ぶ施策を=向井裕明・長野県南木曽町長 2022/03/29 08:30

向井裕明・長野県南木曽町長

 日本の原風景と言える「妻籠宿」など、自然の中に歴史が宿る長野県南木曽町。少子化が進む中、2期目の向井裕明町長(むかい・ひろあき=61)は「若い人に喜んでもらえる施策をやっていきたい」と語り、結婚支援策の強化に意欲を示す。

 南木曽町は県内の町では最も人口が少ない。2020年の国勢調査によると、5年間で398人(9.2%)減の3915人となり、4000人を割り込んだ。新型コロナウイルス禍を受けた出産控えもあり、21年の出生数は16人にとどまった。

 日本全体の合計特殊出生率は1.33人(20年)だが、既婚女性に限ると平均しておよそ2人。「若い人が結婚せず、晩婚化が進んでいる。改善することで少子化を食い止めたい」と話す。

 歴代町長は宅地造成や住宅建設などの人口減対策に取り組んできた。「一定の効果はあった」ものの、「結婚する前の施策が弱い」。経済振興策として配った商品券の金額を29歳以下に限って上乗せしたり、若者の出会いを支援する仕組みもつくったりしたが、「何か違う手を考えないといけない」と感じる。若者の結婚離れは自治体共通の悩みであり、長野県あるいは中部圏といった広域での取り組みが必要ではないかと考えている。

 日本遺産に認定された「木曽路」のうち、江戸期の宿場の趣を残す妻籠宿は重要な観光資源だ。訪日外国人旅行者(インバウンド)受け入れ再開をにらみ、情報発信に余念がない。徒歩で風景を楽しむ観光客が多く、中山道沿いを歩けるルートの整備を考えている。

 かつて基幹産業だった林業・木材関連産業は衰退が著しい。今年春に完成する「妻籠町並み交流センター」は、地元の人が関与する地産地消の「モデルケース」だ。ホールも備えた本格的な施設だが、材料に使う木を切るところから製材、建設まで町内の業者が手掛けた。大学教授に依頼して、町内で手掛けられるように設計してもらったという。

 「やればできる。木も地元、造るのも地元、使うのも地元というシステムをこれからもやりたい」として、郷土愛の高まりに期待している。

 〔横顔〕中学からサッカーに打ち込み、社会人になってからは日本サッカー協会の審判員を務めた。「審判も町長も判断が大事。いつまでも迷っていられない」。好きな言葉は母校明大のラグビー部監督だった故北島忠治氏の「前へ」。妻、長男との3人暮らし。

 〔町の自慢〕「日本で最も美しい村連合」に参加。自然の中に妻籠宿や中山道といった文化財・史跡が息づく。伝統技法で作る蘭桧笠(あららぎひのきがさ)の数少ない産地。

(了)

(2022年3月29日iJAMP配信)

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