2022/令和4年
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インタビュー 【トップインタビュー】「にぎやかな過疎」の始まり=長野県佐久穂町・佐々木勝町長 2022/03/30 08:30

長野県佐久穂町・佐々木勝町長

 「平成の大合併」で長野県東部に誕生した佐久穂町。過疎法に基づいて認定される「過疎地域」が4月から町内全域に広がる。一方で子どもや企業が流入する動きもあり、2期目の佐々木勝町長(ささき・まさる=62)は「『にぎやかな過疎』が始まりつつある」と話す。

 2005年に旧佐久町と旧八千穂村が合併して誕生。21年4月には、合併前の旧市町村が対象となる「一部過疎」に旧八千穂村地域が認定された。20年の国勢調査によると、町の人口は5年間で1000人弱減り、1万218人となった。町内が「オール過疎」になるが動じず、前を向く。

 1期目に中部横断自動車道が開通。日本で唯一のイエナプランスクールに認定された「茂来学園大日向小学校」を誘致した。欧州生まれのイエナプラン教育は、異なる学年が一緒に学ぶ独特の学習が人気で、同小に子どもを通わせるため、首都圏などから町や隣接する佐久市への移住が増えた。今年4月には中学校も開校する。

 毎年子どもの数はほぼ1クラス分ずつ減っていたが、22年度の町内の小学校に在籍する児童数は前年並みを維持。「子どもの数が横ばいというのは、合併してから経験したことがない」

 北陸新幹線佐久平駅から大日向小学校まで送迎するスクールバスの沿線に移住者が住み、シャッターが下りていた場所には新たな店がオープンした。「いろいろなところがにぎやかになってくる」と期待する。

 過疎地域に認定された自治体は、元利償還負担の少ない過疎債を発行できるため、「財政的には助かる」。ハードだけでなく、ソフト事業にも使うことができ、Uターン者の奨学金返済支援も考えている。

 昨年12月には、アウトドアスポーツ用品のモンベル(大阪市)と包括連携協定を結んだ。出店の可能性を探るため、社員がほぼ毎週訪れるという。

 脱炭素社会に向け自然エネルギー開発にも取り組む。地域おこし協力隊のOBが標高差1500メートルの地形を生かした小水力発電に挑戦しており、町が支援している。

 近所付き合いが密なコミュニティーは「ちょっと面倒くさい」が、そのおかげもあり「(19年の)東日本台風で死者を出さずに済んだ」。愛郷精神は町の自慢だ。

 〔横顔〕趣味は登山。母と妻の3人暮らし。「実るほどこうべを垂れる稲穂かな」が家訓。

 〔町の自慢〕天然湖「白駒の池」の入り口には、神秘的な「苔の森」が広がる。町産のプルーンはブランド化して、老舗フルーツ店「新宿高野」にも出荷している。旧八千穂村の全村一斉検診は現在の健康診断のモデルになった。

(了)

(2022年3月30日iJAMP配信)

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