2022/令和4年
930日 (

インタビュー 【トップインタビュー】広報力生かし、攻める行政=村椿哲朗・北海道当麻町長 2022/04/06 08:30

村椿哲朗・北海道当麻町長

 北海道のほぼ中央に位置し、高級な「でんすけすいか」が有名な当麻町。2020年に初当選した村椿哲朗町長(むらつばき・てつろう=42)は「経営感覚を大事に、守りながら攻める」ことを心掛け、職員時代に培った広報力で町のブランド戦略を加速させる。観光の起爆剤として車両を改造したサウナバスを提案し、町内企業の協力で実現。注目の的になった。「地元の強み、人材力がイノベーションにつながる」とみて、町の売り込みに知恵を絞る。

 5期20年務めた前町長から「君しかいない」と後継指名された。一緒にまちづくりを進めてきた同志といい、「(町の)ビジョン実行にはやるしかないし、逃げられなかった」と振り返る。

 入庁は1998年。主に広報畑を歩んだ。相手の心に刺さる広報を実践する中、「もう一歩踏み出せば新しい展開につながる」とマーケティングに可能性を見いだした。

 成功体験は、入場者数が減っていた当麻鍾乳洞の活用だ。温度や湿度が保たれる利点を生かし、日本酒の熟成を提案。自ら飛び込み営業もして酒蔵や農家を巻き込み、純米大吟醸「龍乃泉」が誕生した。「失敗したら謝ろうと思っていた」と腹をくくり、インターネット交流サイト(SNS)でプロジェクトの過程を見せるメディア戦略を採用。ファンを獲得した。

 町長就任後、新型コロナウイルス感染拡大で落ち込む観光の立て直しにも乗り出す。「キャンプ人気と地元の木材振興をつなぐ『バズる』コンテンツ」としてサウナに着目。本場フィンランドで人気のサウナバスに狙いを定め、町内企業に協力を仰いだ。地元の事業者がタッグを組み、内装に町産木材を使ったサウナバスが完成。レンタル事業は人気上々で、2台目も準備中という。

 「町は1円も出しません」。いずれも民間投資で賄った。「税金が入れば甘えが出て、本物の価値が生まれない」と民間での経営継続を念頭に置く一方、「マーケティングは町がやります」と全面支援を約束する。

 町を守る施策も打つ。町の成長で獲得する財源は、高齢者や障害者への支援策、道路などインフラ維持に充てる。「この先、地方交付税は減るだろう。(対応策を)準備しないと事業が止まる」と危機感を募らせ、ふるさと納税をはじめ稼ぐ力の重要性を説く。

 課題は人材育成。自身をプレイングマネジャーと位置付け、トップセールスする姿を見てもらいたいと考える。縦割り回避へ、庁内電子掲示板で町の動きを職員に発信。「チーム役場で意識を共有したい」と、投稿は約300回に達した。「今後求められるのはコーディネート力を持つネオ公務員」と考え、地元資源を最大限生かすまちづくりの実現へ、職員と一丸となって挑み続ける。

 〔横顔〕総務企画課広報係、まちづくり推進課地域振興係長などを経て町長に。趣味は、就職後に先輩から誘われて始めたアイスホッケー。「ハッスルでき楽しい」とのめり込んだ。

 〔町の自慢〕豊かな森をはじめ、都市部にないものが「全部ある」とうたい、16項目を掲げる。夏バラとして評価が高い「大雪の薔薇」がある。

(了)

(2022年4月6日iJAMP配信)

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