2022/令和4年
105日 (

インタビュー 【トップインタビュー】デジタル技術で行政の質向上へ=後藤正洋・北海道当別町長 2022/04/19 08:30

後藤正洋・北海道当別町長

 札幌市に隣接し、今年3月にJR新駅「ロイズタウン駅」が開業した北海道当別町。2021年7月の町長選で初当選した後藤正洋町長(ごとう・まさひろ=67)は、デジタル技術を活用した行政サービスの質向上を町政運営の柱に据える。「時間と場所を選ばず、サービスを受けられるようにしたい」と目標を掲げ、民間企業と連携した取り組みを加速させる。

 デジタル技術の重要性を意識したのは、前職の町議時代。新型コロナウイルスの感染拡大で、高齢者を中心に人と人との交流が減る中、「失われつつある絆をデジタル技術で補うことはできないか」と考えたのが発端だ。

 22年度を「デジタル元年」と位置付け、本格始動させた。住民票の取得をはじめ身近な行政手続きから順次オンライン化を進めるとともに、4月からは生活情報を無料通信アプリ「LINE」で発信。町内を走るバスの運行情報が確認できるアプリを認定こども園の送迎バスに活用する計画で、「冬に屋外で子どもを待つのは大変。待ち時間を短縮したい」と住民目線で施策を展開する。

 デジタル弱者への対応も忘れない。携帯電話会社の店員を講師に招き、高齢者対象のスマートフォン講習を5月から実施。初級~上級の3段階を設定して年間24回開催する予定で、「デジタル活用で誰1人取り残さない」機会をつくる。

 デジタル技術の導入は「自治体だけでは無理。企業と手をつなぐことが大事」と21年11月、NTT東日本とデジタル田園都市の実現に向けたパートナー協定を締結。高齢者のスマホ教室や災害時のデジタル活用などで協力を得る。

 デジタル化とともに着目するのが、再生可能エネルギーだ。「企業のノウハウを取り入れ、導入を加速させる」と、昨秋以降に三井物産、三菱商事と連携協定を締結。木質バイオマスや小水力発電の導入を進める。連携先の構想はさらに広がり、「医師不足にあえぐ地方のモデルになりたい」と、医療分野でのデジタル活用にも関心を示す。

 地方の過疎化が進む中、今春の新駅開業や義務教育学校開校を機に、「若い人に振り返ってもらえる政策を打つ」と語る。教育分野や子育て支援はもちろん、病院やプログラミング塾の誘致にも取り組む方針。今年から新築住宅購入で最大100万円の支援金も用意し、「より具体的な魅力をまいていく」ことで町の存在をアピールする。

 〔横顔〕地元神社の家に生まれ、大学卒業後は禰宜(ねぎ)、宮司を務めた。町議を経て、新人同士の一騎打ちの町長選で勝利。就任後は「調べものもあり、家に居ても落ち着かない」と休日出勤も。町内に住む孫との触れ合いが楽しみという。

 〔町の自慢〕北欧風の街並みを漂わせる住宅街「スウェーデンヒルズ」。4月開校の義務教育学校「とうべつ学園」の校舎は、開放感ある吹き抜け空間を設け、自然光をふんだんに取り込む。

(了)

(2022年4月19日iJAMP配信)

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