2022/令和4年
105日 (

インタビュー 【トップインタビュー】持続可能な「あじさい都市」目指す=高橋敏彦・岩手県北上市長 2022/04/21 08:30

高橋敏彦・岩手県北上市長

 岩手県内陸中部に位置する工業都市である北上市の高橋敏彦市長(たかはし・としひこ=67)は、市内16の地域をアジサイの花に例えた「持続可能な『あじさい都市』きたかみ」の実現を目指し、人口減少や少子高齢化が進む中でのまちづくりに取り組んで来た。就任以降の約11年を「100点満点中の200点付けてもいいかな」と笑顔で振り返る。

 就任当初は空きが目立っていた10カ所の工業団地はほぼ完売。子育て支援などに必要な財源の確保につながり、11カ所目の工業団地の計画も進む。東日本大震災直後の就任であったことから、災害に強いまちづくりや、沿岸被災地の仮設住宅のコミュニティーづくり支援にも力を入れてきた。

 「あじさい都市」は、都市拠点と地域拠点を整備する拠点戦略、公共交通を整備するネットワーク戦略、地域の人たちによるまち育て戦略の三つが柱。2021年度にスタートした新たな総合計画には、実現に向けた具体的な施策を盛り込んだ。空き小学校を活用した地域拠点の整備や、70歳以上への一律6000円のバス・タクシー券の配布、移動診療所の実験的導入など多くの事業が予定され、「いよいよ今年度から一つ一つ形にしていくことになる」と意気込む。

 4月には半導体大手のキオクシアが、北上工場の2棟目の建設を開始。高橋氏は「1棟目の立地が決まって以降、ホテルやマンションが建ったり、インフラなどの環境整備も進んだりした」と振り返り、今後も関連企業なども合わせて見込まれる税収の増加を「市民サービスを手厚くし、少子化対策、子育て支援といったところに生かしていく」と話す。その一環として21年度からは、第3子以降の子どもが小学校に入るまで毎年10万円の支給を開始したほか、子育て支援の総合拠点をつくって支援を一元化した。

 「キオクシアは関連企業を含めて3000人ほどの雇用が必要で、人材確保も大きな課題」と話し、人材育成にも力を入れる。県と設置したデジタルエンジニア育成センターや、市の「北上コンピュータ・アカデミー」に加え、公立大学の設置を目指して22年度から政策企画課に担当者を置いた。こうした企業があることで、世帯数は毎年増えているといい、「(市外から来る)単身の若い人たちが、できるだけ地域に入るきっかけをつくりたい」と考えを巡らせる。寄り道も可能な「スマイルマラソン」や、サイクリングなどのイベントも積極的に企画し、「景観や食べ物なども楽しんでもらって、住み続けてもらうことにつながれば」と話す。

 〔横顔〕北上市出身。建築事務所の取締役やまちづくりに取り組むNPO法人、県政策評価委員などを経て11年に市長に就任。毎朝1時間のランニングかサイクリングが日課。休みには夫人と東北各地へキャンプに訪れる。

 〔市の自慢〕市民それぞれの地域づくりの意識が高いまち。都市部と自然環境が近く、自転車ロードレースの新城幸也選手が監修したサイクリングコースや夏油高原でのスキーなどが手軽に楽しめる。

(了)

(2022年4月21日iJAMP配信)

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