2022/令和4年
105日 (

インタビュー 【トップインタビュー】農業算出額、出口戦略で1割アップを=中西茂・鹿児島県鹿屋市長 2022/04/20 08:30

中西茂・鹿児島県鹿屋市長

 農業産出額が約440億円(全国11位)を誇る鹿児島県鹿屋市。3期目を迎えた中西茂市長(なかにし・しげる=68)は「農業は裾野が広く、関連産業が多い」として、約1割アップの500億円に引き上げる数値目標を、今年度から新たに掲げる方針だ。活性化のためには「出口戦略が重要で、川上から川下まで一体的に発展しなければならない」。後継者不足に悩む生産者や関連団体と議論を尽くし、目標達成に向けた取り組みを後押しする。

 県庁出身で、農政部長などを歴任。その経験から「農業の課題は生産現場だけでなく、付加価値を付けるための加工や、売り先を見つける流通・販売にもある」と指摘する。

 2017年には肝煎りで、行政が商社機能を担い、生産者の商品開発や販路開拓などを支援する「かのや食・農商社推進室」を設置。「作ったものを売る『プロダクトアウト』ではなく、売れるものを作る『マーケットイン』の考え方が必要だ」と力を込める。

 「地域で完結する6次産業化」にも強いこだわりを持つ。「市外の大手業者が参入すれば、より良いものが作れるかもしれない」としつつ、「地域の生産者や加工業者らがかんかんがくがく議論することで、知恵や技術が地域に蓄積されるし、生まれた付加価値も市外に取られない」と、狙いを説明する。

 人口減少が著しい大隅半島4市5町での連携強化も至上命令の一つ。約21万9000人いる大隅半島の人口のうち、鹿屋市民は約45%(約10万人)を占めており、医療・福祉施設や教育機関、商業施設などは、必然的に鹿屋市に集中する。市に立地する企業が、大隅半島の住民の雇用の場になっている側面もある。「こうした施設が立地可能であり続けるためには、鹿屋市単独ではなく大隅半島全体の人口を維持することが重要。4市5町がスクラムを組んで進めなければならない」と訴える。

 そこで目を付けたのが、広域的なコミュニティーバスの運用だ。特に公立学校のスクールバスを4市5町をまたいで走らせることで、「進学のために鹿屋市などに転居する必要がなくなり、間接的に(他市町の)人口減少問題の解消にもつながる」。民間の路線バスとのすみ分けなどの課題はあるとしつつ、早急に検討を進める方針だ。

 鹿屋市単独では、4月に立ち上げた「人口減少対策本部」を中心に、企業誘致や工業団地の整備に取り組む考え。「高校を卒業した後、進学や就職でほとんどの学生が外に出てしまうのが、人口減少の一番の原因だ」とし、賃金や福利厚生、ワーク・ライフ・バランスを重視した魅力的な企業の職場作りや、若年層が余暇を楽しめるまちづくりの必要性を強調した。

 〔横顔〕40代で始めたロードバイクが趣味。基本的にはアウトドア派で、休みの日は「妻とウオーキングしたり、温泉に行ったりしている」

 〔市の自慢〕黒牛や黒豚、カンパチなどといった豊かな特産品をはじめとする「安心安全な食の宝庫」が自慢。市に立地する鹿屋体育大学を生かしたスポーツ振興や合宿誘致にも力を入れている。

(了)

(2022年4月20日iJAMP配信)

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