2022/令和4年
105日 (

インタビュー 【トップインタビュー】目指すのは次世代を大切にする町政=西村勝・福岡県久山町長 2022/05/09 08:30

西村勝・福岡県久山町長

 都市部に近い場所に位置しながら、面積の約3分の2を森林が占め、豊かな自然資源を誇る福岡県久山町。2020年の町長選で初当選した西村勝町長(にしむら・まさる=49)は「住んでいる人が幸せで、かつ次の世代のことまで大切に考えられる町政が一番」と、環境や教育の分野の取り組みに重点を置いている。

 町は今年3月、50年までに温室効果ガスの排出量を実質マイナスにする「カーボンネガティブ」を宣言。自然を増やし、生活環境や生態系の向上に役立てる「ネイチャーポジティブ」も全国の自治体で初めて宣言し、「強みである自然資源を生かすことが全国の中での久山町の役割」と話す。

 「次世代が社会で活躍できるように育てるのが大事な使命」。福岡デザイン専門学校と連携し、今年度からスタートさせる「ひさやまてらこや+(プラス)」は、町立小中学校の児童生徒がプログラミングやデザインなどによる物づくりを通して社会課題解決に取り組むカリキュラムだ。「ただ学ぶだけでなく体験につなげていく」と意気込む。

 久山中学校では、リニューアルする図書室のデザインを生徒と一緒に考えるプロジェクトを始める。「行きたくなる図書室」を生徒自身に考えてもらい、数年かけて完成を目指すというもので、「一つずつ確実に形にする。実現させる経験をするのが大事」と力を込める。

 町民から期待されていると感じるのは「社会や経済に対応した変化」。例えば、今年度から町民図書館で電子図書の貸し出しを始める。新型コロナウイルスの影響で閉館日が増えたことを受けた事業で、国のコロナ臨時交付金を活用する。紙の本とは別に電子図書を購入し、利用者は来館せずに本の貸し借りができる。今年度は1000種類の電子図書をそろえ、10月からのサービス提供を目指す。

 町は面積の約97%が開発行為が原則許可されない市街化調整区域。物流倉庫や工場などは郊外の3%に立地するが、町はそこに環境や循環型社会などのコンセプトを持つ産業団地を整備することを構想中だ。「ただ倉庫を建てて、税収と雇用を生めばいいという時代ではない」。持続的な団地にするために「コンセプトを共有する企業でSPC(特別目的会社)をつくるのも必要な選択」と話す。

 目指すまちづくりの根本にあるのは、次の世代が夢や希望を描けるように「先見の明を持ち、未来の課題に取り組む」という考えだ。「久山町には鉄道がない不便さなどのマイナスはある」としながらも、「地域の資源といったプラスがある。そういった強みがあるから暮らしやすいと思われる町にしたい」と将来への展望を語った。

 〔横顔〕生まれも育ちも久山町。学生時代はバレーボールに打ち込み、1992年から町に入り、職員として働きながら大学や大学院で学んだ。趣味はマイカーで神社仏閣を訪れること。

 〔町の自慢〕伊野天照皇大神宮などの歴史的なスポットが身近にある一方で、大型量販店やアスレチック施設などもアクセスしやすい場所にある。

(了)

(2022年5月9日iJAMP配信)

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