2022/令和4年
108日 (

インタビュー 【トップインタビュー】海老蔵さんと「いのちを守る」森づくり=竹節義孝・長野県山ノ内町長 2022/05/10 08:30

竹節義孝・長野県山ノ内町長

 上質なパウダースノーの「志賀高原」と温泉に入るニホンザル「スノーモンキー」(地獄谷野猿公苑)で有名な長野県山ノ内町。町は全域が国連教育科学文化機関(ユネスコ)のエコパーク(生物圏保存地域)に認定されている。4期目の竹節義孝町長(たけふし・よしたか=74)は、豊かな自然を守ろうと、歌舞伎役者市川海老蔵さんと共に植樹活動に精を出す。

 「『いのちを守る森』づくり=ABMORI(えびもり)」プロジェクトは、地球温暖化に危機感を抱いた海老蔵さんの呼び掛けで2014年に始まった。閉鎖されたスキー場のリフトを撤去し、森林再生を目指す。年一回海老蔵さんが家族らを連れて志賀高原を訪れ、ボランティアとともに約1万本の木を植えてきた。

 新型コロナウイルスの影響で20年は中止したが、21年に規模を縮小して再開した。海老蔵さんは「ノーギャラ」。逆に年300万円規模の寄付を行う。

 「志賀高原の自然は100億円かけてもできない」が口癖。高原の恵みは農業にも及ぶ。2000メートル級の山々を流れる水で育てた志賀高原産「サンふじ」は、高級リンゴとしてブランド化。14年前に導入した高級ブドウ「シャインマスカット」とともに、「だからうまい清流育ち」のキャッチフレーズで三大都市圏に出荷されている。人口減少は止まっていないが、他県から移住する新規営農者も出てきた。

 一方、町の主力産業である観光業は苦しい。コロナ前は年450万人が訪れたが、21年度は250万人。国内在住の外国人らで「温泉街は(コロナ前の)8割くらいに戻った」ものの、志賀高原や北志賀高原を訪れるスキー修学旅行は3分の1に。バスがホテル駐車場を埋め尽くした学習塾の夏合宿もなくなった。

 町は、コロナ対策を施したタクシーの確保やPCR検査の無料化、ホテルへの経営支援を実施。「観光がだめになったらうちの町がだめになってしまう」と危機感は強い。

 22年度の観光客は「300万人行くか、行かないか」。コロナで持ち前の行動力を封印され、この2年間は雌伏のときを過ごした。国内外でトップセールスを再開できれば「(コロナ前の)かなりのところまで観光客は戻ってくる」と期待する。

 〔横顔〕「不易流行」「感謝」を信条とし、「歴史や伝統を大事にしつつニーズや時代に合った改革をしないと飽きられる」。1日3回、犬を散歩させ、そのたびに自宅の温泉で汗を流すのが日課。甘党で知られ、九州の人から名酒「森伊蔵」をもらっても「猫に小判だった」。

 〔町の自慢〕温泉と雪を利用したまちづくり。温泉熱を利用した暖房設備導入を補助しており、灯油代節約につながる。天然の冷蔵庫「雪室スノーパル」では野菜や果物を貯蔵する。最初は相手にしなかった国も温泉熱に注目するようになり、「早過ぎた」と苦笑。

(了)

(2022年5月10日iJAMP配信)

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