2022/令和4年
105日 (

インタビュー 【トップインタビュー】里山を守る誇り=宮川幹雄・長野県栄村長 2022/05/13 08:30

宮川幹雄・長野県栄村長

 長野県最北東部の栄村は、日本有数の豪雪地帯だ。「にほんの里100選」の一つで、雄大な自然と美しい里山が広がる。2020年に就任した宮川幹雄村長(みやがわ・みきお=68)は、「国連の持続可能な開発目標(SDGs)が言われる今、地球と日本のため、われわれにはここを守っていく誇りと使命がある」と語る。

 21年度の最高積雪量は4.15メートルに達し、今年4月下旬まで役場の敷地に雪が残った。村には雪害対策救助員がおり、冬の間だけ非常勤特別職として高齢者ら弱者世帯の雪下ろし作業に当たる。村の観測史上最高は1945年2月の7.85メートル。長年の経験から備えはできており、「(21年度の)このくらいの雪なら生活は大丈夫」と笑う。

 ミネラルを含んだ雪解け水は田畑を潤し、おいしいコメや山菜を育ててきた。「こういうところに住んでいる人がいるからこそ、都会がある」。

 その栄村を襲った11年3月12日の長野県北部地震から11年。震度6強の揺れに「もうだめだと思った」。ほぼ全域に避難指示が出され、避難生活のストレス・過労による災害関連死で3人が亡くなった。

 住宅や道路、農業施設は「よくぞここまで」というところまで復旧。集落単位で村の復興住宅を建設し、「絆というか、みんなで助け合う」地域の良さを大事にした。一方で、入居者の高齢化と維持費への対応という課題は残る。「地震はどこでも起こる。村の経験を伝えていかないといけない」。

 村の人口は1700人を割り、10年間で500人減った。地震が過疎化を加速したのは否めない。ただ新型コロナウイルス下で、子育て世帯が都会から地方に移住する風潮が出てきた。村でも移住者の存在を実感できるようになってきたといい、「(人口減に)ブレーキがかかりつつあるのかな」と期待する。

 移住・定住には働く場所が欠かせず、自然を生かす産業振興に力を入れる。バイオマス発電や小水力発電といった再生可能エネルギーの開発計画が進行中で、「村の電気が賄えて、雇用につながってくれれば」と話す。

 小規模校ながら、情報通信技術(ICT)教育に力を入れてきた村立栄小学校は20年に第35回教育奨励賞優秀賞(時事通信社主催、文部科学省後援)を受賞した。中山間地におけるICT教育の重要性は認めつつ、「子どもたちには野山に入って自然の力を感じてほしい」との思いもある。

 〔横顔〕趣味は現代美術鑑賞。長野県出身の日本画家、菱田春草や池上秀畝のファン。村長就任前は吹奏楽公演にも出掛けていた。好きな言葉は「熱」と「誠」。妻と2人暮らし。

 〔村の自慢〕稲わらで編んだネコ用グッズ「猫つぐら」は長野県伝統工芸品。狭い場所を好むネコが隠れたり、休んだりするのにぴったり。完熟トマトでつくった栄村トマトジュースも人気。

(了)

(2022年5月13日iJAMP配信)

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