2022/令和4年
105日 (

インタビュー 【トップインタビュー】地域資源生かした観光に注力=山下政樹・山梨県笛吹市長 2022/05/16 08:30

山下政樹・山梨県笛吹市長

 石和温泉郷などの観光業が主産業の山梨県笛吹市。新型コロナウイルスの影響で、旅館の宿泊者数は激減した。山下政樹市長(やました・まさき=56)は「『うちにはこれがあります』という目的を打ち出すことが大切」と、地域資源を最大限生かした仕掛けづくりの必要性を訴える。

 石和温泉は、団体旅行をメインに、最盛期の1989年には約177万人の宿泊者が訪れた温泉街だ。バブル崩壊などで減少が続いたが、インバウンド需要が高まった2017年には約153万人に回復。しかし、新型コロナの影響で20年は約71万人に落ち込んだ。

 市がまず行ったのは、宿泊料金の割引事業。政府の「Go To トラベル」事業よりも早い20年4月から実施した。「観光客が消えてしまったときに、最初に手を出したことだ」と観光業の重要性を指摘。一方で、「宿泊客への補助金はこれまで一度もなく、ちょっとタブーだった。遊びに来る客に市の税金を突っ込むのか、とね」と葛藤があったことも明かす。

 その後、「県民割」などが普及する中、22年1月には芸者を雇う置き屋向けの補助制度を創設。「業種として、しっかり成り立っている。県内でこれだけ置き屋さんがあるところは、うちぐらいしかない」と支援の理由を語る。

 さらに地域資源を生かした仕掛けとして実現したのが、富士山や河口湖を一望できる展望台を設置した「FUJIYAMAツインテラス」だ。市南部の峠にあるこのスポットは、「隠れた名所」だったという。富士山を一望するため、木の伐採などについて、環境省や県などとの交渉に尽力した。昨年7月末のオープンから11月末までの開園期間、新型コロナによる休業もあったが、約1万4000人が訪問。今後はインフラ整備などを2年かけて行い、価値向上を図る。「富士山や自然の魅力は朝、昼、晩と違う」といい、大手旅行会社と協力して富士山を早朝に見るツアーやナイトツアーなども検討しているという。

 宿泊施設が多い市の特徴を生かし、スポーツツーリズムの振興も視野に入れる。市ではさまざまな競技ができる多目的芝生グラウンドの整備計画が進められている。このグラウンドを活用して合宿や大会を誘致し、宿泊施設の利用拡大を狙う。

 この他に展開する施策も合わせて、「(宿泊者数が)年間で100万人を超え、120万人ぐらいになれば」と期待を込める。「無いものねだりをしてもしょうがない」と強調。「客に来てもらう仕組みづくりを、『ウィズコロナ』でやらなければいけない」と今後を見据える。

 〔横顔〕富士急行に入社後、衆院議員秘書、県議を経て16年に市長に就任。大事にしている言葉は、天台宗僧侶・酒井雄哉氏の著書の題名「一日一生」。

 〔市の自慢〕ぶどう、ももの生産量全国1位。初代日本開発銀行総裁・小林中氏、東京地下鉄道の創立者で「地下鉄の父」と呼ばれる早川徳次氏らの出身地。

(了)

(2022年5月16日iJAMP配信)

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