2022/令和4年
105日 (

インタビュー 【トップインタビュー】今は大きな転換期=日台正博・長野県木島平村長 2022/05/19 08:30

日台正博・長野県木島平村長

 長野県北部の木島平村は、春から秋は農業、冬はスキー観光で成り立ってきた。だが、新型コロナウイルス禍により、第三セクターで運営する観光施設の経営が悪化。村は完全民営化へと大きくかじを切った。2期目の日台正博村長(ひだい・まさひろ=65)は、持続可能な村づくりに向けて「今は大きな転換期」と語る。

 1970~90年代に建てられた公共施設は、建て替えや改修の時期に入った。村は「維持するか、除去するか、民間に譲渡するか」を迫られている。

 最大の課題が、観光施設だ。村が8割を出資する第三セクター「木島平観光」は、当時のスキーブームを受けて、1993年に設立。スキー場や温泉、公園、ホテルなどを管理運営してきた。

 ブームは去り、スキー場の来場者数は92年の22.8万人をピークに年々減少。2008年には4分の1の5.4万人になった。

 さらに訪日外国人旅行者(インバウンド)需要を見込んでホテルの受け入れ態勢を整えた直後に、コロナが直撃。修学旅行など団体客の落ち込みがひどく、木島平観光は「収入が3分の1に減り、冬場の団体宿泊はほぼゼロ」となった。同社は19年度決算で9661万円もの赤字を計上し、村からの借入金は8000万円に上った。完全民営化で行政負担を軽減しながら、事業継続を目指す。

 「三セクは決断しても行動に移すまでに時間がかかる。それに対し民間は決断が速い」。コロナで経営環境は一変しており、民間企業による機動的な抜本改革を期待する。今年度中をめどに、事業譲渡の相手先を探す。

 観光業復活へ明るい兆しもある。コロナによる行動制限がなかった今年の大型連休には個人客が多く訪れ、「雰囲気が変わった」。村の子どもの修学旅行も3年ぶりに県外を計画。ここ2年、予約が入っては取り消しが続いた団体客も「来るのではないか」と期待する。

 〔横顔〕自宅でトマトやキュウリなど野菜20~30種を育てる。好きな言葉は「一期一会」。妻と息子2人・娘2人と同居。孫の顔が早く見たいが、「誰も結婚しない」のが悩み。

 〔村の自慢〕ブナの原生林が広がる「カヤの平」は「村の宝」。日本一美しいブナの森と言われ、村人が乱開発から守り抜いたという。「木島平米」は、コメのオリンピックと評される「米・食味分析鑑定コンクール:国際大会」で9年連続金賞。進取の気風があり、接ぎ木の台木にすぎなかったズッキーニを日本で初めて商品として出荷したのは農協の指導を受けた村の農家だった。

(了)

(2022年5月19日iJAMP配信)

同一カテゴリー記事