インタビュー 【トップインタビュー】幸せ実感できるまちに=内田悦嗣・千葉県浦安市長 2022/05/31 08:30

世界的に有名な東京ディズニーランドがある千葉県浦安市。「夢の国」の発展と共に、まちも大きく成長した。今後の目指す姿について、現在2期目の内田悦嗣市長(うちだ・えつし=57)は「全ての市民が幸せを実感できるまちをつくる。それが命題だ」と語る。
また「例えば雇用で考えた場合、パイは限られるが、障害者、高齢者、女性、若年層、失業者への支援が必要だ。そのとき、どこか一点に焦点を当てるのではなく、全ての人が(支援やメリットを)享受できるようにしたい」と強調する。
市は自主財源が豊かな不交付団体だ。だが、財政を支える基幹産業の観光は新型コロナウイルスで大打撃を受けた。東京ディズニーランド、東京ディズニーシーは長期間休業や入園者数制限を迫られ、周辺のホテルや飲食店なども営業を縮小せざる得なかった。それに伴い、法人市民税は大きく減り、税収が落ち込んだ市は厳しい財政状況に陥った。
現状については「コロナ前に比べて市税は1割減だ。これまで以上に優先順位を考え、施策を展開する方向にシフトした」と説明。事業見直しの徹底を図ると共に、少子高齢化による人口構造の変化や公共施設の老朽化の進行への対応が求められると指摘し、「ソフト・ハードの両面でまちをメンテナンスしていかないとならない」と気を引き締める。
子育て支援として、2022年度から進学で経済的負担が生じる小学6年と中学3年を対象に給食費無料化を始めた。併せて、待機児童ゼロの維持、特別な支援が必要な子どもの保育環境の整備、虐待の早期発見にも引き続き力を入れる。「どんな状況下でも子育てしやすい環境をつくる。子どもの人権を守ることが究極の子育て支援だ」と力を込める。
また、新たな交流やにぎわいを生み出すため、東京芸術大と連携したアートプロジェクトや自転車ロードレース「浦安クリテリウム」の開催に向けた準備も進める方針だ。「地元から愛され、外からも『いいね』と言われるまちにしたい」と思いを膨らませる。
自身は同市職員、同市議、千葉県議を経て、市長になった。「三十数年にわたって行政に関わってきた自負はある。まちの機能を維持していくために今何をすべきかを常に考えている」と話す。「市の方向性を決めるときには議会から承認を得ることを大切にしている。10年後、20年後、30年後の市の姿は筋の通ったものになると信じている」と強調した。
〔横顔〕国学院大卒。2017年3月に市長就任。趣味はプロ野球観戦、文化芸術やお笑いなど演芸の鑑賞。読書やウオーキングも好む。
〔市の自慢〕「浦安のアイデンティティーとして染みついている」と誇る東京ディズニーリゾート。市民活動も盛んで「自治会だけでなく、おやじの会やスポーツサークルなども多い」。
(了)
(2022年5月31日iJAMP配信)