2022/令和4年
105日 (

インタビュー 【トップインタビュー】DXで合理化へ=甕聖章・長野県池田町長 2022/06/02 08:30

甕聖章・長野県池田町長

 北アルプスの景観が美しい「花とハーブの里」長野県池田町。行財政改革に取り組む2期目の甕聖章町長(もたい・きよあき=74)は「デジタルトランスフォーメーション(DX)を通しての合理化は、非常に期待できる」と話す。 

 過去に計画した大型公共事業の実施が集中したことや、資材・人件費高騰で「事業費が計画より3割増」となったこともあり、町の財政が悪化。財政健全化指標の一つで、地方債の返済額の大きさを財政規模の割合で示す実質公債費比率は2020年度決算で12.1%(全国平均5.7%)。今後も上昇を続け、16%近くまで悪化する見込みだ。

 町は財政調整基金を取り崩さない予算編成を21年度から2年連続で実施し、独立した行財政改革委員会を立ち上げた。同委の答申を受けて、一時は110人いた職員を退職者不補充で94人に減らし、4月から10課を8課に統合した。 

 「(実質公債費比率が)10%を切るところ」を目指す財政健全化の道は険しい。例えば、同委は多額の維持費が掛かる北アルプス展望美術館の営業縮小を求めるが、「非常に難しい問題だ」と顔を曇らせる。東京スカイツリーと同じ標高634メートルの高台にあり、北アルプスの雄大な景色を一望できる美術館は「魅力の一つ」。「どう方向付けるか、結論を出さないといけない時期」だという。

 こうした中、期待するのがDXだ。地域おこし協力隊の一人が民間企業でIT関係の営業を手掛けた経験があり、「(役場の)中の合理化」を任せることにした。ITに精通した職員は少なく、システム経費は開発業者の「言いなり」。「不合理な部分がずいぶんある」といい、「業者の裏側が分かる強み」を生かして、システム契約の交渉や職員のDX教育で力を発揮してもらう。

 町が「花とハーブの里」を掲げて30年余り。最近は「オーガニックのまちづくり」にも注力する。ハーブセンター近くの試験圃場(ほじょう)では、無農薬で化学肥料も使わない作物の栽培を研究中。「若者はオーガニック志向。どんな野菜が育つか。うまく行けば農業関係者に広めていきたい」と期待する。 

 〔横顔〕高校時代の山岳部経験を生かして、観光客に町を案内する「ガイドマスター」を務めた。短歌をたしなみ、書道も練習中。座右の銘は、そのときその場で全力を尽くす常居其全(じょうきょきぜん)。妻と2人暮らしだが、子5人に孫15人。 

 〔町の自慢〕江戸時代の庶民の学校「池田学問所」は当時としては異例の男女共学で、教育意識が高かった。童謡「てるてる坊主」の作詞者浅原六朗は池田町出身。甕町長の自宅は、浅原の生家があった場所だという。

(了)

(2022年6月2日iJAMP配信)

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