2022/令和4年
105日 (

インタビュー 【トップインタビュー】事業構築も大事に「地域の価値向上を」=村田悠・静岡県裾野市長 2022/06/24 08:30

村田悠・静岡県裾野市長

 富士山の南東の麓に位置する裾野市の村田悠市長(むらた・はるかぜ=35)は、今年1月の市長選で3期目を目指す現職を破り、初当選した。希望の見えない緊縮財政から脱却し、「ビルド・アンド・スクラップ」を提起。「政治家の仕事は、何かを構築して地域の価値を上げ、地域を便利にする仕組み作りだ」と言い切る。

 市内に広がる自然豊かな平野には、富士サファリパークや大手メーカーの工場が立ち並ぶ。トヨタ自動車子会社が、同市内の工場跡地で自動運転技術などの実証を行う近未来都市「ウーブン・シティ」を建設中であることでも知られる。

 ただ、市財政は長期にわたり財政調整基金を取り崩してきた。トヨタの工場撤退やコロナ禍が引き金になり、2021年2月には財政非常事態宣言を出す事態となった。出馬に当たり掲げた公約は「メリハリとスピードある改革。発展が実感できる裾野市を実現する」。

 就任後は、事業廃止や既存施設の閉鎖を進めるだけでなく、大規模工業団地の造成や新東名の裾野インターチェンジ新設、箱根との観光道路の拡幅など、投資事業も積極的に進める。「『スクラップ・アンド・ビルド』ではなく『ビルド・アンド・スクラップ』だ」と強調する。

 一方で、財政再建に向け、多額の予算を組んできた駅前区画整理事業の見直しや、利用者の減少で過剰になった公共施設、小学校や幼稚園など教育施設の統廃合などにも取り組む。「市民は、子どもの通学などが不便になることを危惧している」と、通学距離が遠くなる地域のスクールバス路線の整備などを説明し、住民の理解を得ていきたい考えだ。

 改修費用が高額だとして閉鎖する予定だった市民文化センター大ホールも、存続を希望する市民の声を受け、照明器具の更新を行わないなど最低限の改修で存続を決めた。大ホールはアイドルグループなどのコンサート会場にもなっている。自称「モモノフ(ももいろクローバーZのファン)」と明かしつつ、大ホールについて「今後ももクロの聖地にしていきたい」と笑う。

 事業廃止一辺倒からの脱却に向け、職員向け改革にも取り組む。「職員の心のベクトルを合わせることが最初の組織改革なんじゃないか」との考えから、5月には、「日本一市民目線の市役所として最高の行政サービスを提供する」ことをミッションに掲げた。選挙時の自身の公約に対する進捗(しんちょく)状況も定期的に市民に発表する仕組みとしている。

 「ウーブン・シティ」については「私の父も祖父もトヨタに勤めており、私はずっとトヨタに育てられてきた。ウーブン・シティを運営するトヨタ子会社とも良好な関係を築き、共に世界に誇れるような裾野をつくっていきたい」と熱く語る。

 〔横顔〕趣味は剣道で4段の腕前。座右の銘は「意志あるところに道はある」。市長になることは子どものころからの夢で、小学校の卒業アルバムにも「市長になる」と書いたほど。

 〔市の自慢〕日本で一番美しく富士山が見える町。東京・霞が関まで車で約1時間半、近隣の三島駅から品川駅まで新幹線で約40分と、都心へのアクセスも良い。

(了)

(2022年6月24日iJAMP配信)

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