インタビュー 【トップインタビュー】ブランド力向上、世界遺産追い風に=安田壮平・鹿児島県奄美市長 2022/06/27 08:30

世界自然遺産登録に沸いた鹿児島県・奄美大島。2023年には米軍占領下から本土に復帰して70年の節目を迎える。21年11月に初当選した奄美市の安田壮平市長(やすだ・そうへい=43)は、「追い風を一過性にせず、力強い地域発展の姿を見いだしたい」と意気込む。
東京で会社員をしていた24歳のころ、「奄美・沖縄」が世界自然遺産候補に選定されたことが政治家を志すきっかけになった。当時は奄美の魅力が十分に生かされていないと感じており、「政治が良くなれば、もっと島が良くなるんじゃないかとの思いがあった」という。
松下政経塾で政治の基礎を学び、島内の民間企業に勤務した後、奄美市議に。「平成の大合併や三位一体改革といった地域の主体性が模索されていく中、市長を目指す意志が明確になっていった」と振り返る。
念願かなった21年7月の世界遺産登録の効果を最大限に生かすべく、今年度から官民連携のための「世界自然遺産活用プラットフォーム」を設置。市民参加型の機動的な政策実現が目的で、「行政だけが頑張っても長続きしない。民間事業者や市民が当事者意識を持つことで、経済的なメリットに結びつけなければいけない」と説明する。
選挙公約にも掲げた「かせぐ地域づくり」では、観光を中心に既存分野のデジタル化を進め、地域全体のブランド力向上を図る考え。大島紬(つむぎ)や黒糖焼酎など、奄美特有の特産品の豊富さに触れた上で、「若い世代の感性、感覚を取り入れた商品を作ることで、必ず国内、海外にも市場が開ける」と力を込めた。
〔横顔〕2002年東大法卒。筋力トレーニングや、小学4年の息子とテレビゲームを楽しむのが息抜き。奄美の伝統的なスポーツ「舟こぎ競争」にも興じる。
〔市の自慢〕市中心部から「車で5~10分行けば味わえる」という山の緑や透明感。具を乗せたご飯に鳥だしをかける「鶏飯(けいはん)」や、奄美の魚を使ってつくる家庭料理「ユン汁」が市長のおすすめ。
(了)
(2022年6月27日iJAMP配信)