2022/令和4年
108日 (

インタビュー 【トップインタビュー】新幹線駅開業へ「食」に照準=岩村克詔・北海道八雲町長 2022/06/29 08:30

岩村克詔・北海道八雲町長

 北海道新幹線の札幌延伸を2030年度末に控え、新駅の開業が予定される北海道八雲町。岩村克詔町長(いわむら・かつのり=65)は「観光客が駅に降り立つには、魅力ある食を用意すること」と語り、養殖試験を始めたサーモンを柱に、地元産品を生かした町の発展を描く。

 「新八雲駅」(仮称)は町中心部から西約3キロに建つ計画。ただ、「新幹線の延伸だけで町が発展するという夢は見ていない」と現実路線を貫く。「駅舎に過度にお金をかけても仕方なく、駅前が立派でも人が集まらないと何もならない」と指摘。駅周辺は牧場や畑が広がる「あるがままの風景」を残す考えだ。

 とはいえ、新駅開業は大きな好機。「町が発展する可能性はある。それは『食』を用意して、地元産業を活性化していくことだ」と強調する。

 柱に据えるのがトラウトサーモン。町の漁業が衰退する中、回転ずしで人気のサーモンに着目。「ほとんどが輸入で、国内産には伸びしろがある」と19年末から養殖試験に着手した。海面の養殖いけすは町が補助し、漁業者が養殖を行う公設民営方式を採用。日本海側の熊石地域で、3年目の今春は約3500匹(約11.8トン)を水揚げ。初年度の約5倍になった。今後、養殖いけすを増設し、事業化へ向け弾みを付ける。

 高級路線には走らず、「味はもちろん、コストダウンして海外産に値段で勝負する」のが目標。「北海道二海(ふたみ)サーモン」として売り込み、冷凍加工施設の建設も視野に入れる。種苗生産にも乗り出し、将来的には60万匹の幼魚生産を目指す。「サーモン養殖を行う近隣町にも供給できれば」と地域間連携にも意欲を見せる。

 町内には、サーモンやアワビ、和牛など豊富な産品があり、ワインの製造や日本酒の蔵誘致といった計画も進行中。新駅開業までに「いかに準備できるかだ」と魅力ある食の確保に汗をかく。

 食をめぐっては別の動きも。新駅周辺では、菓子大手「不二家」とともに「テーマパークや牧場(の構想)をこれから煮詰める」という。同社のマスコットキャラクター「ペコちゃん」のモデルが、町内の牧場の一人娘という伝説が両者をつなぐきっかけになった。ご当地商品の開発、連携協定の締結で協力体制を構築する中、「ペコちゃん牧場ができれば、子どもから大人まで楽しめる場所になる」と構想の実現に期待は膨らむ。

 〔横顔〕会社社長や町議、地元商工会長などを経て、13年町長に初当選。現在3期目。「今も飛び込み営業する」行動派で、休日も町の将来について考える日々という。

 〔町の自慢〕日本で唯一、二つの海を持つ町。太平洋に上る朝日と、日本海に沈む夕日を見ることができる。ホタテやアワビをはじめ、海産物が豊富。

(了)

(2022年6月29日iJAMP配信)

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