インタビュー 【トップインタビュー】経済とコミュニティーの衰退防ぐ=福本まり子・鳥取県琴浦町長 2022/07/06 08:30

鳥取県中部にある琴浦町。2022年1月に初当選した福本まり子町長(ふくもと・まりこ=69)は、コロナ禍の長期化を踏まえ、「地域経済とコミュニティーの衰退を防ぎたい」と抱負を語る。「人に優しく環境にやさしいまちづくり」を目標に掲げており、高齢者や障害者ら社会的弱者の声を拾い上げ、「目には見えないところに光が当たるような施策も展開したい」と意欲を示す。
県内初の女性首長。これまで町の職員や町議として男女共同参画を進める活動にも関わってきた。女性が政治に関心を持つには、「(女性自身が)普段の生活で問題意識を持ち、それを周りと共有し、広く訴え掛けることが必要」と指摘する。
最も関心を持って取り組んだのは農業振興だ。「町を支えるのは農業。それを守り、維持・発展させることが琴浦を守ることにつながる」と力説する。
宝島社の22年版住みたい田舎ベストランキングで、人口1万人以上3万人未満の市町村のうち、町は「若者世代が住みたいまち」と「子育て世代が住みたいまち」の2部門で2位に選出。農業や漁業などが盛んな点が大きく評価された。「町内に海と山があり、1日で両方を体験できる」と町の魅力を紹介する。
人口は約1万7000人で、高齢化率は37.5%に達する。町は移住定住を促すため、移住者向けの専用サイトや町内の空き家を紹介する「空き家ナビ」を運営。移住前から移住後まできめ細かくサポートしている。移住者には個性的で魅力的な人が多いとした上で、「街づくりに関心のある方々もいるのでうれしい」と感謝する。
21年度のふるさと納税は約3億6000万円と前年度に比べ1割近く増えた。県内自治体でも寄付額は多い方だが、今後は「富裕層もターゲットに返礼品の中身を充実させたい」と意欲を示す。
〔横顔〕1978年旧東伯町役場(現琴浦町)に入り、琴浦町農林水産部参事を最後に退職。町議などを経て、22年1月町長に初当選した。高齢者が作品づくりを通じて介護や認知症を予防する臨床美術などが趣味。
〔町の自慢〕日本海で捕れた新鮮な海の幸と牛骨ラーメン。一向平キャンプ場で体験できるネイチャーサウナも自慢。
(了)
(2022年7月6日iJAMP配信)