インタビュー 【トップインタビュー】女子サッカーの聖地に=頼高英雄・埼玉県蕨市長 2022/07/15 08:30

女子サッカーを題材にしたアニメ「さよなら私のクラマー」と、その舞台となった埼玉県蕨市が、アニメツーリズム協会(富野由悠季会長)により2022年度版の「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」に選ばれた。頼高英雄市長(よりたか・ひでお=58)は「蕨市が女子サッカーの聖地になってほしい」と意気込みを示す。
「さよなら私のクラマー」は2016年から「月刊少年マガジン」で連載開始。市民や職員から「蕨が出ているよ」と市長の耳にも入り、テレビアニメ化されたのを契機に、「連携して市を盛り上げていこうということになった」。
中山道の宿場町だった蕨宿や織物産業を中心に紹介する市の歴史民俗資料館では「さよなら私のクラマー展」を開催。登場人物を描いたのぼり旗約300本を市内に掲げたほか、「聖地巡礼ウォーキングマップ」を作成するなど、まちぐるみでアニメをバックアップした。
アニメ聖地は、作品の舞台やモデルとしてファンに一定の認知を得ていることを前提に、国内外のアニメファンを対象にした投票結果などを基に決定される。アニメに出てくるシーンは見慣れた景色であるのに加え、「女子サッカーチームの愛称が『ワラビーズ』で、市民が愛着や親しみを感じてくれた」ことも奏功。「市民の自発的な盛り上がりが、(聖地選定に)一番大きな力になった」と感謝する。
埼玉県は、WEリーグ11チームのうち、三菱重工浦和と大宮、ちふれ埼玉の3チームが本拠地を置く、女子サッカーが盛んな土地柄。このアニメをWEリーグが後援していることもあり、代表の岡島喜久子チェアとも交流が始まり、さらなる連携に向けて協議を進めている。
市内の和楽備(わらび)神社にはクラマーの絵馬が用意され、岡島チェアもリーグの成功祈願に訪れている。頼高市長は、「女子サッカー関係者には大会前に和楽備神社にお参りに来てほしい」と願っている。
〔横顔〕市議を経て、07年から市長(4期目)。趣味は映画鑑賞、読書、将棋、スポーツ観戦。コロナ禍でいろいろな制約があるが、「逆に時間が取れて、時代小説を中心に読んだ本の数は非常に増えた」と満足顔だ。
〔市の自慢〕日本一小さい市域で、人口密度が日本一高いコンパクトシティー。東京駅まで電車で約30分と都市部にあるのに、コミュニティーが豊かで、市民の町への愛着の高さが自慢だ。「日々接していると市民の蕨愛を感じる」。
(了)
(2022年7月15日iJAMP配信)